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「邪魔なんだけど」満員電車で肘がぶつかっても気にしない男。だが、会社員風の男性の一言で状況が一変

混んだ車内で、空間だけ確保し続けた男性
平日の朝、いつも通りの満員電車に乗った。
ドア付近は押し込まれるように人が立ち並び、身動きがほとんど取れない状態だった。
ドア横に立っていた男性が、スマホを見ながら肘を横に張っていた。
揺れるたびに、その肘が私の腕にぶつかる。
周囲を気にする様子はなかった。
ただスクロールし続けながら、自分の半径だけを確保して立っていた。
(邪魔なんだけど…)
最初の一駅は我慢した。二駅目も、仕方ないと自分に言い聞かせた。
でも何駅も経つうちに、ストレスがじわじわと積もっていった。注意しようとしても言葉が出ない。混んでいるのはお互い様だとも思う。
そのうちに電車は次の駅へ近づいた。
一歩前に出た男性の、落ち着いた声
ドアが開く少し前、小柄な年配の女性が出口へ向かおうとした。
少しずつ前へ進もうとしているのに、肘を張った男性は一切動かない。女性が少し困った顔をした。
そのとき、隣に立っていた会社員風の男性が一歩前に出た。
「すみません、降りる方がいます」
声を荒げるわけでも、睨みつけるわけでもなかった。
肘を張ってた男性は一瞬、不満そうな顔をした。でも周囲の視線が自然に集まったこともあって、無言で体をずらした。
年配の女性はするりと出口へ向かい、降りる前に小さく頭を下げた。
「ありがとうございます」
車内に大きな変化があったわけではない。拍手も、称賛の声も出なかった。
それでも、あの一言が飛んだ後の空気は、確かに少し和らいでいた。
声を上げること、一歩前に出ること。
それだけで周りが変わる瞬間がある。
会社員風の男性は、何事もなかったかのようにまたスマホに視線を戻していた。普段からこういう振る舞いができる人なのだろう。
誰かのためだけにわざわざ大げさにふるまうのではなく、ごく自然に一歩出る。それが日常の中の頼もしさだと感じた。
職場に着く頃には、朝のイライラはほとんど消えていた。あの数秒の出来事だけで、その日一日の気分が少し変わった。
自分も同じような場面に出会ったら、声を出せる人でありたいと思った朝だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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