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「これ、全然違うよね?ちゃんと確認してる?」会議中に皆の前で責め立てた先輩。だが、後輩の指摘で先輩の誤りが発覚した瞬間

普段は優しいのに、忙しくなると変わる先輩
その先輩は、普段は穏やかで面倒見もいい人だった。
入社当初、業務を覚えるときにも分からないことがあると丁寧に教えてくれたし、昼休みには雑談もよくしていた。
だが繁忙期に入ると態度がころりと変わった。強い口調で指示を出してくる。
他の人がいる場所でも、私にだけ小言を飛ばしてくる。
そういうことが続いていた。
「これもできてないの?」
そう言われるたびに、周囲の目が気になって、うまく言葉が返せなかった。
先輩には先輩なりの事情があるのかもしれないと、そのたびに自分に言い聞かせてきた。
入社して間もなかったこともあって、反論するという発想自体が出てこなかった。
会議の準備をしていた日のことだった。先輩が資料を手に近づいてきて、メンバーが揃った会議室でこう言った。
「これ、全然違うよね?ちゃんと確認してる?」
数人の視線が私に集まった。言い返せなかった。
でも実際には、そのデータは先輩が渡してきたものだった。
私のミスではない。元データを受け取ったとき、先輩に確認まで取っていたのに。それでも声が出なかった。顔が熱くなるのを感じながら、下を向いていた。
(間違っているのは私じゃない。でも今ここで言い返しても、言いがかりに聞こえるだろうか)
そう思うと、余計に声が出なかった。
後輩の一言で、空気が変わった
黙って下を向いていると、同じチームの後輩が口を開いた。
入社して半年も経っていない、一番若いメンバーだった。その後輩がはっきりとした声で言った。
「先輩のせいじゃないですよ。渡したデータが去年のものだったはずです」
会議室が、静かになった。
先輩は一瞬固まり、小さな声でこう言った。
「あ…そうだったかも」
それだけだった。謝罪はなかった。
でも、周りにいた人たちも状況を理解した様子で、場の空気がわずかに動いた。
それまで胸のなかで固まっていたものが、すっと消えた気がした。自分では言えなかったことを、誰かが代わりに言葉にしてくれた。
それ以来、先輩の口調は明らかに柔らかくなった。正式に話し合いをしたわけでも、何かが大きく変わったわけでもない。あの後輩のたった一言が、ずっと続いていた空気を変えてくれた。あの瞬間のことは、今も忘れられない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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