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「なぜ息子に手加減させるの?」鬼ごっこで速い息子に制限を要求してきたママ友。理不尽な要求を断り続けた末に転校した事情

突然かかってきた非常識な電話
息子が小学校に入った頃の話だ。
同じ学年に、少し変わった子がいた。
ある日の夕方、見知らぬ番号から電話がかかってきた。
名乗ったのはその子の母親だった。
「うちの子が鬼ごっこで一番速く走りたいので、息子さんに手加減してもらえませんか。追いつかれないよう、わざとゆっくり走ってほしいのです」
耳を疑った。
聞き間違いかと思い、もう一度同じことを言わせた。
間違いなく同じ内容だった。
話を聞くと、その子のクラスで足が速い子全員に、同じように電話をかけてまわっているのだという。
我が子を鬼ごっこの一番にするために、クラスの保護者全員に連絡を取っているということだ。
「なぜ息子に手加減させるの?」
頭の中でそう叫びながら、実際には声を抑えて返した。
「子供達の問題なので、私からは何も言えません」
電話を切った後も、しばらく受話器を握ったまま動けなかった。
息子は何も知らず、外で遊んで帰ってくるだろう。その無邪気さと、この電話の内容の落差に、頭がついていかなかった。
繰り返す要求と、積もり続けたモヤモヤ
それで終わりかと思っていたら、しばらく経ってまた電話がかかってきた。
「リレーの選抜に立候補しないでください」
今度は運動会のリレー選考のことだった。うちの息子が立候補すると、その子が選ばれなくなるかもしれないというのが理由らしかった。
断った。
間もなくまた電話が来た。
「委員会の立候補も控えていただけますか」
今度は児童会の委員会への立候補だった。
何の委員会かも、なぜその子と被るのかも、説明はなかった。
毎回、同じように丁寧な口調で、しかし理不尽なことを淡々と要求してくる。
そのたびに「子供の問題ですから」と断り続けたが、電話のたびにじわじわとした疲弊感が積み上がっていった。
近所のほかの保護者にも話が広まった。同様の電話を受けた家庭が複数あると知ったのは、しばらく経ってからだった。
その母親の気持ちを、まったく理解できないわけではない。
我が子に輝いてほしいと願う気持ちは、親なら誰でも持つものだ。
ただ、他の子の機会をひとつひとつ取り除くことで、我が子の居場所をつくろうとするやり方は、親が頼み込むことで解決するものではない。
その後、その家族は引っ越した。聞いた話では、子供が学校で孤立し、居心地が悪くなったことが転校の理由のひとつらしかった。
親が小学生のうちに手を回しすぎた結果として、子供がその代償を払う形になったのだと思うと、スッキリするどころか、静かなモヤモヤだけが残った。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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