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「母さん、いつも妻ばかりに頼むのはおかしくない?」義実家で台所だけ任され続けた40代の私→夫の一言で空気が一変

義実家での指定席はいつも流しの前
結婚して10年以上、義実家へ顔を出すたびに、私の指定席は決まって台所でした。
リビングからは義父や義兄たちの談笑する声がにぎやかに漏れてくるのに、私は流しの前で背中を丸めて野菜を切っている。
義母はにっこり微笑みながら、こちらを振り返ってこう声をかけてくるのが定番でした。
「台所お願いね」
同じダイニングテーブルにいる夫も、義兄の奥さんも、座ったまま動きません。
立ち上がるのはいつも私ひとり。義母は笑顔をこぼしながら、毎回のように、こんな一言を添えてくるのです。
「若いんだから動いて当然よ」
義兄の奥さんは私より三つほど年上なのですが、それでも「若い人がやるのよ」と笑って、自分は座ったまま動こうとしない。
お盆も正月もお彼岸も、来客のお茶を入れるのも、煮物の盛り付けも、食後の洗い物まで、全部が私の役目になっていました。
気づけば義実家にいる時間の大半は、ほとんど流しの前で過ぎていったのです。
(なんで、私ばっかり…)
内心、ずっとモヤモヤしていました。
それでも嫁の役目だと自分に言い聞かせて、口角を上げて動き続ける。手土産の紙袋を抱えて玄関を出た瞬間にだけ、深いため息が漏れる。そんな日々が、何年も静かに続いていました。
夫が口にした一言で静まり返ったリビング
去年のお盆、私はたまたま腰を痛めていました。
湿布を貼って身体をかばいながら義実家にお邪魔した直後、ソファに座る前から、いつもの一声が飛んできたのです。
「台所お願いね」
私は深く息を吸って、結婚以来初めて、首を横に振ったのです。
「今日は無理です」
義母の表情が、目に見えて曇りました。リビングの空気が一気に冷たくなって、義兄の奥さんは気まずそうに視線を落とす。
義母が何か言いたげに口を開きかけた、ちょうどその時です。私の隣に座っていた夫が、伏し目がちに、それでもはっきりとした声で口を開いたのです。
「母さん、いつも妻ばかりに頼むのはおかしくない?」
場が、しん、と静まり返りました。夫が義母にこの種の指摘をするのは、結婚して以来初めてのこと。
義母は何かを言いかけて、結局そのまま口を閉じてしまいました。私はダイニングの椅子に腰掛けたまま、夫の横顔をじっと見つめていました。胸の奥で、長く凍っていた何かが、ゆっくり溶けていくのを感じたのです。
あの日からです。義母の口から「台所お願いね」がぴたりと消えました。今では義兄の奥さんも一緒に立ち上がってくれるし、義母自身も、小鉢を運ぶ手を貸してくれる。たった一言が、長年動かなかった義実家の空気を、確かに変えてくれたのでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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