Share
実兄「勝手に祝いを贈るな」→娘婿「善意で贈っただけ」100km来て空振りした兄が引き下がった

「お祝いをしなさい」から始まった
三年前のことです。
娘に子どもが生まれ、時を同じくして、娘婿のお兄さんの家にも赤ちゃんが誕生しました。
「お互い、めでたいこと。ちゃんとお祝いを贈りなさいね」
私は娘婿に、そう勧めました。
婿は素直にうなずき、お兄さんへ出産祝いを送ったのです。
これで一段落、と思っていました。
娘の家とお兄さんの家は、行き来こそ多くありませんが、慶事にはきちんと礼を尽くす。
それが筋だと、私は信じていました。
ところが、娘婿のお兄さんは少し変わった人でした。
自分の決めた通りに事が運ばないと、途端に不機嫌になり、強い言葉をぶつけてくる。
婿も、実の兄には気をつかっていたようです。
お兄さんは「うちはお互い様。祝いのやりとりはなしにしよう」と、あらかじめ身内に言い渡していたらしいのです。
そこへ、こちらから祝いが届いた。
それが、どうにも気に入らなかったようでした。
とはいえ、祝いは相手を思ってのこと。
贈って叱られる筋合いはありません。
そう思っていた私も、まさか本人が乗り込んでくるとは、想像もしていませんでした。
100kmを走って、空振りした兄
ある日、お兄さんは仕事の合間をぬって、車を走らせました。
我が家までは、およそ100km。ずいぶんな距離です。
用件は、たったひとつ。
「勝手に祝いを贈られては困る」と、直に言いにくるためでした。
ところがその日、私は娘と孫を連れて、三人で買い物に出かけていました。
家はもぬけの殻。お兄さんは、100kmを走った末に、誰にも会えず引き返すことになったのです。
後日その話を聞いて、正直、背筋がひやりとしました。
もし家にいたら、玄関先で何を言われていたか分かりません。
数日後、お兄さんから電話がかかってきました。受けたのは、娘婿です。
「勝手に祝いを贈るな」
電話口でも、お兄さんの語気は強いままでした。
けれど娘婿は、今度は引きませんでした。
「善意で贈っただけです」
「受け取れないなら、それで構いません。ただ、留守を狙うようにうちへ押しかけるのは、やめてください」
私も、娘夫婦の背中を押しました。
あなたたちは何も間違っていない、堂々としていなさいと。
お兄さんは、二の句が継げませんでした。
しばらく黙り込み、「……もういい」とだけ言って、電話を切ったそうです。
それ以来、お兄さんが我が家に来ることも、強い言葉を寄こすこともなくなりました。
娘夫婦は、必要な付き合いだけを残して、静かに距離を置いたのです。あのとき留守だったのは、幸運だったのかもしれません。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


