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隣人「風で飛んだだけでしょ!」ベランダに溜めたゴミがうちに転がる。だが、台風前に届いた一枚の通告で状況が一変

風の強い日に転がってくるもの
隣の部屋のベランダには、空のペットボトルがいつも山積みになっていた。
風の強い日になると、それがうちのベランダへ転がってくる。からん、と乾いた音がするたびに、外に出て拾うのが日課になっていた。
一度だけ、廊下で会ったときに思い切って声をかけた。
「すみません、うちにペットボトルが飛んでくるみたいで」
「風で飛んだだけでしょ!」
「こっちのせいにされても困るんだけど」
「いえ、責めてるわけじゃなくて……」
「飛ばないようにしてって言われても、無理なものは無理」
取りつく島もなかった。これ以上、直接やり合っても角が立つだけだ。
仕方なく、私は管理人さんに相談した。
「特定の方を名指しはできませんが、全体に注意は出しますね」
「お願いします。風の日が、本当にこわくて」
数日後、掲示板に「ベランダに物を置かないでください」という張り紙が出た。
けれど、隣のベランダのボトルは一向に減らない。風が吹くたび、うちには小さなストレスが転がり込んできた。
台風前に届いた一枚の通告
大型の台風が近づく、という予報が出た週。
私は飛んできたボトルを拾うたび、日付を入れて写真に撮りためていった。
何日に、何個。記録は淡々と積み上がっていく。
その写真をまとめて、管理会社に提出した。
「これだけ繰り返し飛んできています。台風で割れたら、下に人もいますし」
「記録、助かります。これなら個別にご連絡できます」
全体への注意では動かなかったので、今回は具体的な記録ごと渡したのだ。
数日後、管理会社が動いた。共用部分にあたるベランダの保管物は撤去の対象になる、という文書が、隣の部屋に個別に届けられたらしい。
台風の前日の夜だった。
壁の向こうから、かたかたと物を片付ける音が聞こえてきた。
あれだけ「無理」と言い張っていた人が、黙々とボトルを運んでいる。途中で手が止まり、長いため息が壁越しに伝わってきた。
そして、音は静かに止んだ。
「ねえ、あそこ、ずっと気になってたのよね」
翌朝、同じ階の住人が共用廊下で小声で言った。気にしていたのは、私だけではなかったらしい。
台風が過ぎた朝、うちのベランダには何も転がっていなかった。隣のベランダも、きれいに空になっている。廊下ですれ違った隣人は、ばつが悪そうに目を逸らし、小さく会釈だけして部屋へ消えた。からん、というあの音は、もう二度と聞こえなくなった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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