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「早くしろよ」コンビニで新人にキレる客。だが、次の客が放った一言で救われた話

バーコードが通らない。焦りが募るレジの前で
夕方、買い物の帰りに立ち寄ったコンビニで、その場面を目撃した。
レジに並んだとき、カウンターの前にいたのは研修中の名札をつけた若い店員さんだった。
商品のバーコードをスキャンしようとするのだが、角度が合わないのか何度やってもうまく読み取れない。ピッという音がせず、もう一度、また一度と試みるうちに、手元が少し震えているように見えた。
カウンターの真ん前に立っていたのは、40代くらいに見える男性客だった。
腕を組んだまま、舌打ちまじりに小さく吐き捨てた。
「早くしろよ」
声は大きくないが、店員さんの肩がびくっと跳ねたのがわかった。
空気が一気に固まり、手元の動きはますます小さくなっていく。
その男性客は会計だけ済ませると、舌打ちを残して足早に店を出ていった。
代わって列の先頭に進み出たのは、私のひとつ前にいた中年の男性客だった。声は低く、穏やかで、急かすような色は少しもなかった。
「ゆっくりで大丈夫、誰だって最初はそんなもんだよ」
店員さんの手がふっと止まった。それから、少し間があって、顔が上がった。
驚いたような、それでいてほっとしたような、その両方が混ざった表情だった。
空気が変わった瞬間を、私はレジの後ろから見ていた
店員さんは「ありがとうございます」と小さく言って、もう一度バーコードをかざした。今度はしっかりピッと鳴った。
その後の会計は流れるようにスムーズだった。焦りが抜けたのだろう、動作がさっきより落ち着いて見えた。
受け取った小銭を渡す手も、ちゃんと安定していた。お客さんへの「ありがとうございました」の声にも、さっきとは違う張りがあった。
お客さんはそれ以上何も言わず、釣り銭を受け取るとさっさと出て行った。大げさに褒めるわけでも、過度に気を使うわけでもない。ひとこと言って、それだけ。後を引かない潔さだった。
私の番になったとき、店員さんの顔つきが少し変わっていた。緊張の色が薄れて、ちゃんとこちらの目を見てくれた。
「ありがとうございました」
レジを離れながら、胸の中が温かかった。自分が言われたわけでもないのに、どこかほっとした気持ちになっていた。
あのお客さんがあの場であの言葉を選んだこと。それだけで、あの空間の空気が変わった。
焦っている人に「早くして」と言うのは簡単だ。でも「ゆっくりでいい」と言える人は少ない。こういう一言が言える大人でいたいと、帰り道にしみじみ思った。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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