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「まじでありえないでしょ!」深夜、隣人の長電話が壁越しで丸聞こえだった。2年後、隣人が引っ越したワケ

壁越しに筒抜けだった深夜の長電話
以前住んでいたマンションは、隣の部屋との壁が薄かった。
引っ越して数日で、それははっきり分かった。布団に入って電気を消すと、ちょうど枕の向こう側から、誰かの話し声が漏れ聞こえてくる。
「それはさー!」
夜の十一時を過ぎても、日付が変わっても、隣の住人は長電話をやめなかった。普通の会話なら気にならない。でも、その人の声は内容まで全部聞こえてくるほど大きかった。
「だから言ったじゃん、無理だってさー!」
知らない誰かの恋愛相談、職場の愚痴、週末の予定。聞きたくもない他人の生活が、毎晩、壁一枚を通して私の寝室に流れ込んでくる。
生活音なら諦めもつく。けれど、これは生活そのものが筒抜けだった。
「もう、何時だと思ってるの」
枕に顔を押しつけて、何度そうつぶやいたか分からない。誰の声色か、笑い方の癖まで覚えてしまうほど、毎晩同じ声を聞かされ続けた。
管理会社への記録だけを淡々と続けた
意を決して管理会社に相談すると、担当者は隣に注意してくれた。
「先方には伝えておきましたので」
たしかに、その後数日は静かだった。ほっとしたのも束の間、また「それはさーー!」が戻ってきた。
「直接言ったら、何されるか分からないし」
夫にそう漏らすと、夫も眉をひそめた。
「相手の顔も知らないからな。やめておこう」
結局、私たちにできたのは記録を残すことだけだった。何月何日の何時に、何分間、どのくらいの声だったか。スマホのメモに淡々と書き溜めて、たまる度に管理会社へ送った。直接対決はしない。ただ事実だけを積み上げる。それが二年近く続いた。正直、もう引っ越すしかないのかと諦めかけていた。
トラックが去った夜に戻ってきた静けさ
転機は、ある日の夕方だった。エントランスで管理会社の担当者とすれ違うと、少しだけ声をひそめて教えてくれた。
「お隣さん、更新せずに退去されるそうです」
記録を出し続けたことが効いたのかは、最後まで分からない。
それでも、約束の日、隣の部屋に引っ越しのトラックが横付けされた。段ボールが運び出され、夕暮れの中をトラックがゆっくり走り去っていく。
私はベランダから、その背中をただ見送った。
その夜、いつものように布団に入って電気を消した。耳をすませる。聞こえない。あの笑い声も、知らない誰かの愚痴も、壁の向こうから何ひとつ漏れてこない。
「……静かだね」
隣で夫がつぶやいた。私は天井を見上げたまま、小さくうなずいた。二年ぶりに取り戻した、本物の静けさだった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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