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「1000円ずつ出して、4000円ね」友人との自宅飲み。だが、友人の何気ない頼みに感じた違和感とは

じゃんけんで負けて、買い出し係になった
友人たちとうちで飲んでいた。テーブルの上の缶はあらかた空になり、つまみの皿も底が見えている。
誰からともなく、そろそろ買い足すかという話になった。
「じゃあ、じゃんけんで決めよう」
負けたのは俺だった。文句はない。この集まりでは昔からそうやって決めてきたし、少し酔いの回った頭には、夜の空気を吸うのも悪くないと思った。
「1000円ずつ出して、4000円ね」
みんなが出した1000円札が、テーブルの真ん中に集まる。
俺はそれを財布にしまって、注文を順番に聞いていった。ビールの種類、酎ハイの味、しょっぱい系のつまみ。
言われた分を頭の中に並べながら、そろそろ出ようと腰を上げたときだった。
「あと、あのアイスもお願いしていい?」
友人のひとりが、思いついたという顔で、コンビニでよく買う少し高めのアイスを挙げた。俺はすぐに返事ができなかった。
そいつが出したのも、みんなと同じ1000円だ。追加で出すそぶりはない。財布を探る気配もなかった。
ただ、頭に浮かんだことを軽く口にしただけ、という顔をしていた。
言えないまま、差額だけが残った
「わかった、買ってくる」
結局、俺はそう答えて玄関を出た。夜のコンビニは眩しいくらいに明るくて、かごに酒とつまみを入れ、頼まれたアイスも冷凍ケースから取った。
会計の数字は、手元の4000円をきっちり超えていた。足りない分は自分の財布から出した。
帰って袋を広げると、みんなが手を伸ばしてくる。アイスを頼んだ友人も、当たり前みたいにそれを受け取って、ありがとう、と言った。
袋の底に残ったレシートは、誰も見ていなかった。
「悪いな、助かった」
そのひと言で終わりだった。金の話は、そのあと最後まで出てこなかった。俺も言わなかった。言えば済むのに、言えなかった。
言おうと思えば、機会はいくらでもあった。でも、口に出そうとするたびに、額の小ささが邪魔をした。
これくらいで請求する男だと思われたくない、という気持ちもあった。
たぶん向こうに悪気はない。追加で頼んだこと自体、もう気にしていないのかもしれない。それが分かるから、なおさら言えなかった。
「なあ、次は誰の家にする?」
誰かがそう言って、話は先へ流れていく。その横で、友人は頼んだアイスを食べながら、いつも通り笑っていた。
俺もつられて笑いながら相づちを打った。
あれから何度か同じメンバーで飲んでいる。でも、誰かが買い出しに立つたび、あの夜の差額がふっと頭をよぎる。たいした額じゃない。
それなのに、自分だけが気にしていることほど、妙にいつまでも残るものなのだと思う。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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