Share
「うちの子、全然食べないの」凝った離乳食を見せてきてマウントを取るママ友。1年後、ママ友からの相談の電話で気づいたこと

公園で差し出されたスマホ画面
子どもの離乳食がなかなか進まなくて、毎日頭を抱えていた頃の話だ。
同じ月齢の子を持つ知人が公園で声をかけてきて、ふとした流れで離乳食の話になった。
こちらが先に「最近離乳食どう?」と切り出すと、相手は得意げにスマホを差し出してきた。
「うちの子、全然食べないの」
そう言いながら見せてきた画面に並んでいたのは、彩りを整えた野菜のポタージュ、星形に抜いたにんじん、丁寧に裏ごしした豆腐のあんかけ。
どう見ても手の込んだメニューばかりで、量も小皿にこんもりと盛られていた。
(全然食べないって、どういう意味?)
私が毎日必死に作っているのは、べちゃっと潰した白身魚と、形の崩れたにんじんペーストだ。
写真の豪華さとのギャップにしばらく言葉が出なかった。
「すごいね、手が込んでるね」と笑うのが精いっぱいだった。
「これくらい作らないと食べてもらえないからさ」と追い打ちまでかけられた。
私はまた苦し紛れにうなずいた。これは食卓の苦労話ではなく、間違いなくマウントだった。
帰り道、スマホのカメラロールを開いて自分が撮った離乳食の写真を見た。
つぶした野菜がひとかたまり。それだけだった。あの画面のきらびやかさが頭から離れなかった。
1年後にかかってきた電話
それから季節が変わり、子どもたちが1歳を過ぎた頃のことだ。
うちの子が急に何でも口に運ぶようになった。
白いご飯をほおばり、柔らかく煮た野菜も残さない。悩んでいたのが嘘のように、食卓が賑やかになっていった。
夫が「なんで急に食べるようになったんだろうな」と首を傾げるほどの変わりようで、私もただ「わからないけど、よかった」と笑った。
同じ頃、あの知人から電話がかかってきた。声の調子がいつもと違う。
「うちの子、白いご飯しか食べなくなって。どうしよう」
野菜を見ると口を閉じてしまうらしい。
以前の凝ったメニューとはまるで正反対だ。あれだけ手をかけていたのに、と本人も泣きそうな声で言う。
「どうしたらいい?」と聞かれても、私はうまく答えられなかった。
子どもの食の好みは、努力や見た目の豪華さとは別のところで動く。
あの日マウントを取ってきた相手が、いま私に頼ってきている。胸の奥でじわりと何かが解けていった。返事を選びながら、心の中で短くつぶやいた。
(子どもって、親の思い通りにはいかないものだね)
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

