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「あと3万円分、契約しましょう」要介護の親に出費を強いた介護担当者。だが、家族の記録で状況が一変

母のためのはずが
要介護になった母のために、ケアマネージャーをお願いすることになった。
担当になった人は、一見すると物腰が柔らかく、口調も穏やかだった。
ただ、その提案はいつも母のためではなく、別の何かのためにあるようだった。
「あと3万円分、契約しましょう」
顔を合わせるたびに、新しいサービスを勧めてくる。母の体はもう十分に疲れているのに、予定を次々と詰め込もうとするのだ。
「これも入れておけば安心ですよ」
母は昔から、遠慮がちで我慢強い人だった。
少しくらい無理でも、頼まれれば断れない。担当者は、そんな母の性格を見透かしているようだった。
断りきれずに首を縦に振る母の横で、私はいつも歯がゆい思いをしていた。
「お母さん、少し予定が多すぎませんか」
「必要なサービスですから」
私が案じても、担当者は取り合わなかった。
慣れない予定が増えるほど、母は目に見えて元気をなくしていく。
夜も眠れず、食も細くなっていった。母の穏やかな笑顔が消えていくのが、そばにいて何より辛かった。
残しておいた記録
それからも、無理な提案は続いた。私は母を守るため、その日から毎日ノートをつけ始めた。
その日の母の体調、勧められたサービスの中身と金額、担当者の言葉。
気づいたことを、そのつど、すべて日付とともに書き留めていった。
眠れなかった夜のこと、食事に手をつけられなかった朝のことも、細かく記していく。
ページが増えるほど、この違和感は気のせいではないと確信していった。
ある日、母がサービスを断ると、担当者は聞こえよがしに舌打ちをした。
「せっかくご提案しているのに」
その一言で、私は事業所に相談することを決めた。
ノートを手に、責任者との面談の場を設けてもらう。
「この一か月、母に勧められた契約と、その後の体調です」
日付とともに並んだ記録を差し出すと、担当者の顔から、みるみる余裕が消えていった。
「いえ、それは、必要だと判断して…」
言いかけて、言葉に詰まる。責任者が一枚ずつ記録に目を通し、隣で表情を険しくしていくのがわかった。
「ご本人の体調を無視した契約は、うちでは認めていません」
責任者がそう告げると、担当者はうつむいて黙り込んだ。あれほど滑らかだった口が、もう一言も動かない。
私たちはその後、別の事業所に切り替えた。新しい担当の方は、何よりも先に母の体調を気づかってくれる人だった。
「今日はよく眠れましたか」
その一言だけで、母の表情がやわらいでいく。母のための介護が、ようやく戻ってきた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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