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「納豆の雑煮も食べられないの?」婿を試す義母。だが、婿の思わぬ反応に義母の態度が一変

正月に出された納豆のお雑煮
結婚してから初めて、妻の実家で正月を迎えた。雪深い土地で、義母は朝から台所に立ち、湯気の立つお椀を運んできた。
差し出されたお雑煮を見て、私は思わず箸を止めた。
汁の中に、糸を引く納豆がたっぷり沈んでいる。生まれてこの方、納豆の入った雑煮など見たことがなかった。
その戸惑いが顔に出ていたのだろう。義母がこちらをちらりと見て、口の端を上げた。
「あら、どうかした?」
「いえ、納豆が入っているのは初めてで」
正直にそう返すと、義母は少しばかり得意げな顔になった。
「納豆の雑煮も食べられないの?」
都会育ちの婿を試すような、上から見るような響きだった。
隣で義父が苦笑いをしている。妻は気まずそうに、私と母の顔を交互に見ていた。
「この辺じゃ、赤ん坊の頃から食べてる味なのよ。まあ、都会の人には珍しいでしょうけど」
義母は箸を置いて、こちらの出方をうかがっている。妻がそっとテーブルの下で、私の膝に手を触れた。気にしないで、という合図だった。
この土地では当たり前の味なのに、それを知らない私が田舎の暮らしを分かっていない、とでも言いたげだった。
ここで顔をしかめれば、せっかくの正月に角が立つ。私はお椀を手に取った。
一口すすったら見下しが消えた
思いきって、餅ごと一口すすってみた。納豆の粘りと白味噌の甘さ、それに餅のもちもちが絡んで、想像していたのとまるで違う。
「意外と美味しい」
本音がそのままこぼれた。取り繕いではなく、心から出た一言だった。
すると、勝ち誇っていた義母の表情が、すっと止まった。
「……あら、そう」
言葉が続かず、視線が宙をさまよう。試すつもりが、あっさり気に入られてしまって、拍子抜けしたらしい。
「ほら、母さんの雑煮はうまいんだ」
義父がすかさず笑い、妻もほっとしたように頬をゆるめた。
「昔からうちの正月はこれでね。婿さんの口に合うか、母さんずっと気にしてたんだよ」
義父がそう明かすと、義母が「余計なこと言わないで」と顔を赤らめた。試すような口ぶりは、裏を返せば緊張の裏返しだったのかもしれない。
「そんなに気に入ったなら、おかわりする?」
気づけば義母は、さっきまでの見下した口ぶりをすっかり引っ込めて、二杯目をよそってくれていた。
私が「いただきます」と頭を下げると、義母は照れたように鍋の蓋を閉めた。
知らない味を笑うより、まず口に運んでみる。それだけで、身構えていた食卓の空気がふっとほどけた。あの正月から、義母は私に一番に雑煮をよそってくれるようになった。五十を過ぎて初めて知った味は、思い出すたび、あたたかい。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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