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「前のおうちは海の近くなの」幼稚園児の娘が真顔で語った。しかし、我が家の近くに海がない謎

幼稚園児の娘が突然語り出した、知らないはずの記憶
数年前、娘がまだ幼稚園に通っていた頃の話だ。
夕食後にリビングで絵本をめくっていた娘が、ふと顔を上げてこちらを見た。
眠そうな声ではなく、何かを思い出した人の落ち着いた口ぶりだった。
「前のおうちは海の近くなの」
夫と私は思わず顔を見合わせた。
我が家はずっと関東に住んでいて、結婚してから一度も引っ越したことがない。
海辺に親戚もいないし、家族で海に長く滞在した経験もない。
最初は「テレビで見た景色を自分の家と勘違いしているのだろう」と軽く受け流し、笑いながら頭をなでた。
ところが娘の話はそれだけで終わらなかった。
白い犬、船の仕事、押し寄せた水
その晩から数週間、娘は思い出したように同じ話を続けた。
「前のおうちには白い犬がいた」「お父さんは船のお仕事だった」「お水が来て怖かった」と、幼児にしては妙に現実感のある言葉が並ぶ。
聞いた覚えのある絵本や番組と結びつけようとしても、どれもしっくりこなかった。
何度聞いても話の筋がブレないのも不思議だった。
普通、子どものつくり話は日によって犬の色が変わったり登場人物が増えたりする。
けれど娘の語る家は常に同じ場所で、白い犬の毛並みも、船から帰ってくる父の足音も、玄関先の地面まで一貫していた。
私が一度も連れて行ったことのない海辺の町の風景を、潮の匂いや坂道の傾きまで細かく説明されたときは、さすがに背筋がひやりとした。
少し怖くなって「そんな夢を見たの?」と聞いた私に、娘は真顔で答えた。
「夢じゃないよ。前にいた時のことだよ」
小学生で忘れた娘と、今も答えの出ない私
その話を娘がぱたりとしなくなったのは、小学校に上がる少し前のことだった。
こちらから「海の近くのおうちの話、覚えてる?」と聞いても、娘は不思議そうな顔で「そんなこと言ったっけ?」と首をかしげるだけになった。
あれほど真剣に語っていた記憶が、本人の中からきれいに抜け落ちていた。試しに白い犬の話を振っても、船の仕事の話を振っても、反応は鈍く、初めて聞く話題のような顔をする。
ただ今でも、家族で海辺の町に旅行に行くと、娘がふと足を止めて辺りを見回すことがある。
初めて訪れたはずの土地で「なんかここ懐かしい気がする」とつぶやかれると、こちらの心臓がひと拍だけ跳ねる。結局あの数週間が何だったのか、いまも答えは出ていない。
あの頃の娘の真剣な表情を思い出すたびに、当時は受け流してしまった一言一言の意味を、もう一度確かめたくなる夜がある。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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