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「うちの足音、聞き分けてるのかな」ドアの隙間から監視してきた向かいの住人→ゴミ出しする時の妻が住人に声をかけられた理由に恐怖

廊下に響く小さなドアの音
数年前、妻と二人で築古のアパートに住んでいた頃の話だ。
お向かいの部屋の住人は、引っ越しの挨拶にも顔を出さず、廊下ですれ違ったこともなかった。
性別すら分からないまま、半年が過ぎていた。
異変に気づいたのは、ゴミ集積所に向かう朝のことだった。
玄関の鍵を閉めて階段に向かうと、背中で「ガチャ」と小さな音がする。
振り返ると、向かいのドアが数センチだけ開いていた。
隙間の奥に黒い影が見えて、誰かがこちらをじっと見ていた。
偶然かと思った。次の日、夜の十時にゴミを出しに行ったときも、同じ音がした。
やはりドアが少し開き、隙間からこちらを見ている。朝も夜も関係なかった。
「うちの足音、聞き分けてるのかな」
妻が小声で言った。私たち夫婦のどちらかが玄関を出ると、必ず向かいのドアが開く。
挨拶も会釈もない。ただ、見ている。それだけだった。
試しに別の階の住人が階段を上がってくる音を聞いていたが、向かいのドアは反応しなかった。
我が家の玄関が動くときだけ、必ず連動するように開く。同じ階の他の家には興味がないらしい。標的は私たち夫婦だった。
隙間から囁かれた一言
決定的だったのは、妻が資源ゴミを出した木曜の朝だった。
透明な袋には、すすいだペットボトルだけが入っていた。
妻は分別には人一倍気を遣う性格で、私から見ても完璧な仕分けだった。
玄関を閉めて二歩進んだとき、向かいのドアが例のごとくガチャと開いた。
そして、隙間からボソッと低い声がした。
「それ、プラスチック混ざってない?」
妻は固まったまま振り返れなかったという。中身が見えるはずもない距離だ。
袋越しでも、ペットボトル以外は入っていない。
それを「混ざってない?」と指摘してくる意味が、まったく分からなかった。
帰宅した妻から話を聞き、私は背筋が凍った。
挨拶を交わすわけでもない人物が、こちらの行動を音だけで監視し、しかも内容まで採点している。
常識的な隣人の振る舞いではなかった。
その夜、私たちは管理会社に相談した。担当者は「前の住人もすぐに退去された方なんです」と言葉を濁した。
それ以上は教えてくれなかったが、答えとして十分だった。我が家の前にも、同じ視線に耐え切れず逃げた誰かがいたのだ。
翌月、私たちは引っ越しを決めた。鍵をかける音すら聞かれている部屋で、これ以上暮らせる気がしなかった。
最後の引っ越し当日、家具を運び出す業者の足音に紛れて、向かいのドアがまた数センチ開いた。私は振り返らなかった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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