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「お前が盗っただろ」位置情報だけで冤罪を押しつけた社長。だが、先輩が突きつけた一言で頭を下げた瞬間

根拠なく決めつけられた先輩
冬のシーズン中、スキー場のリゾートバイトに入っていたときの話だ。
同じ寮に住む5歳上の先輩は、正直すぎるほど物をはっきり言う人だった。
遠回しな表現より直球が好きで、ときどき誤解を受けることもあったが、根は真面目で信頼できる人だと感じていた。
仕事の飲み込みも早く、新しく入ったスタッフには丁寧に教えている姿も何度か見ていた。自分にも他人にも厳しく、だからこそ口がきつく見えることもあったが、理不尽には黙っていないタイプだった。
ある日、お客様がワイヤレスイヤホンをなくしたと申し出た。
端末の位置情報を確認すると、表示されたのは先輩が住む寮の部屋の近く。
それだけを根拠に、社長は先輩を呼び出して言い放った。
「お前が盗っただろ」
先輩は否定したが、社長は聞く耳を持たなかった。
「位置情報がそこを指している」「お前しかいない」と、証拠らしい証拠も示さないまま決めつけ続けた。
周囲にいたスタッフも、何も言い出せないまま場の空気をやり過ごすしかなかった。
先輩の顔が徐々に硬くなるのを、横で見ていて胸が痛かった。
反論しても社長の語気が変わらないと分かると、先輩は途中から押し黙った。それが諦めでなく、言葉が通じないと判断したからだと、後になって分かった。
真相が明かされた後の一言
事態が動いたのは、数日後のことだった。
別の若いスタッフが、実際に盗んでいたことが発覚したのだ。
社長はすぐに先輩を呼び出したが、その場の空気は重かった。
謝る言葉がなかなか出てこない。申し訳なさそうに目を逸らしたまま、社長は沈黙していた。
そのとき先輩が静かに口を開いた。
「盗むわけないですよね」
感情的でも怒鳴るわけでもない、淡々とした声だった。
「謝ってください」
社長はぐうの音も出なかった。しばらく間があってから、絞り出すような謝罪が出た。
それ以上でも以下でもない、ただの謝罪だった。先輩は「分かりました」と短く受け取って、その場を終わらせた。ようやく胸のつかえが取れた気がした。
先輩が全力で怒ることも、場を荒らすこともなかった。
それでも自分が受けた不当な扱いに対して、きちんと言葉で筋を通した。その一部始終が、何年経っても頭に残っている。正直さが誤解を招くこともあるかもしれない。
でも、同じ正直さで自分の身を守ることもできるのだと、先輩が教えてくれた気がした。根拠のない決めつけほど理不尽なものはない。それでも怒りをぶつけずに事実だけで向き合った先輩の姿は、あの冬に学んだ一番大きなことだった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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