Share
「幸せそうなあんたが羨ましいだけよ」母から実の娘に向けられた言葉。振り向いた目に血の気が引いた瞬間

「幸せそうなあんたが羨ましいだけよ」母から実の娘に向けられた言葉。振り向いた目に血の気が引いた瞬間
帰省のたびに積み重なる「のけ者感」
結婚して初めて実家へ帰った日から、何かが変わった気がした。
うまく言葉にはできない。
ただ、母と妹が私に向ける視線が以前とは違う。どこか薄く、表面だけをなぞるような目だった。
会話に加わろうとしても返ってくるのは短い相槌だけで、二人が笑い合うタイミングに私はいつも入れない。
リビングにいるのに、自分だけが少し浮いている感覚が残る。
学生時代に経験したことがある。仲良しグループで自分だけが輪から切り離される、あの独特の空気。帰省のたびに、それにじわじわと似てくるのだ。
(気のせいかな)
帰りの電車の中でそう言い聞かせる。
でも次に帰ったときも、同じ感覚がまた待っていた。
一度目は偶然かと思った。二度目は自分の疲れのせいかと思った。
三度目になると、もう「気のせい」という言葉が使えなくなった。
理由を聞くのが怖かった。はっきりさせてしまったら、何かが取り返しのつかない形で壊れる気がして、私はずっと黙って帰省を繰り返していた。
夫には何も話していなかった。うまく説明できる言葉がなかった。
妹も以前は私と仲が良かった。それなのに今は、私が話しかけると少し身体を引く。そのわずかな距離が、毎回じわじわと刺さった。
それでも半年ほど経ったころ、意を決するしかない場面が来た。
娘に向ける目ではなかった、あの顔
夕食後、母と二人だけになったタイミングで、静かに切り出した。
「最近、なんか態度が変わった気がして。私、何かした?」
母はしばらく黙っていた。台所の換気扇だけが低くうなっている。
やがて母が振り向いた。
その顔が、私の知っている母の顔ではなかった。
慈しみも温かさも抜け落ちて、ただ同性の他人を見るような、底の浅い目がそこにあった。
「幸せそうなあんたが羨ましいだけよ」
さらりとした、短い言葉だった。
感情を隠そうともせず、嫉妬をそのまま乗せてひと言で言い放った。
血の気が引いた。足元の感覚がなくなるような、あの感覚。
目の前にいるのは実の母なのに、まったく知らない誰かと向き合っているような気持ちになった。
何か言い返せたはずなのに、口から言葉が出てこなかった。
しばらくして、母はまた台所の作業に戻った。何事もなかったかのように。
あの日から、私は実家への足が重い。母の笑顔を見るたびに、あの日の底の浅い目が透けて見える気がする。あれは本音だったのか、それとも一瞬の感情だったのか。どちらであっても、答えは今もわからないままだ。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

