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「これ、すぐに対応しておいて」と雑務を押し付ける上司。だが、満面の笑みで正論をぶつけた結果

私の職場には、コピー取りや会議の準備といった細かな仕事を全員で分担する「当番制」というルールが存在します。
しかし、そのルールはいつの間にか形骸化し、なぜかすべての雑務が私のデスクにばかり積み上がっていました。
「これ、すぐに対応しておいて。君に任せるのが一番安心だから」
上司から投げられた無責任な言葉に、私は心の中で深く、重い吐息を漏らすしかありませんでした。
「頼りにされている」という呪縛と、募る不信感
周りの同僚たちが暇そうにスマートフォンを眺めていても、上司は迷わず私だけを指名してきます。
最初は「仕事の正確さを評価されている証拠」と自分に言い聞かせてきましたが、連日の偏りに、それが単なる「押し付け」であることは明白でした。
「……承知いたしました」
引きつった笑みを浮かべて返事をするたび、心の奥底には黒い感情が溜まっていくのを感じます。
山のような資料を抱えて廊下を走る私を横目に、本来の当番であるはずの同僚たちは談笑に花を咲かせている。
このあまりに不平等な光景を、黙って受け入れ続ける必要なんてあるのでしょうか。
沈黙を破る微笑みの「正論」。連鎖した周囲の反応
転機が訪れたのは、湿度の高いある日の午後のことでした。
オフィスに緊張感のない空気が流れる中、上司がいつも通り、当たり前のような顔をして私の元へやってきたのです。
「次の会議、いつものようにセッティングしておいて。やっぱり君がやってくれないと始まらないからさ」
その瞬間、私の中で張り詰めていた糸が、乾いた音を立てて切れました。
感情を剥き出しにするのは得策ではありません。私はゆっくりと立ち上がり、今日一番の輝かしい笑顔を上司に向けました。
「ご指名ありがとうございます!でも、今日は〇〇さんが当番の日ですよね? 組織として決めた当番表通りに運用したほうが、皆さんも納得されると思いますよ」
私の声が響いた瞬間、オフィスのキーボードを叩く音がぴたりと止まりました。
「あ……いや、それはそうなんだけど、君の方が手際がいいから……」
予想だにしない真っ当な指摘に、上司の顔はみるみるうちに狼狽の色に染まっていくのがわかります。
すると、それまで沈黙を守っていた同僚の一人が、静かに立ち上がりました。
「そうですね。今日は私の番ですから、私がやります。ルールは守らないと意味がないですし」
「自分もそう思います。特定の人に負担が偏るのは、チームとして不健全ですよ」
次々に同僚たちの援護射撃が続き、逃げ場を失った上司は「ああ……わかった。じゃあ、当番の人がやってくれ」と、弱々しい声を残して自席へと退散していきました。
張り詰めていた空気は、一瞬にして清々しいものへと変わりました。
この日を境に、上司が私を「便利屋」扱いすることは二度となかったのです。
不条理な要求を、笑顔と正論で鮮やかにいなす。勝利の余韻に浸りながら飲み干した仕事終わりの一杯は、これまでにないほど喉越しが良く、私の心まで潤してくれました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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