Share
「余計なことは、黙ってなさい」高校時代の親友と久しぶりの再会。だが、親友が過敏な反応をする理由に絶句

帰省先で再会した親友
年末に実家へ帰省した帰り道、駅前で高校時代の親友とばったり再会した。
「久しぶり、元気だった?」
隣には、有名進学校の制服を着た男の子が立っていた。
聞けば、彼女の息子だという。
手には塾のテキストらしい紙袋を提げ、少し緊張した面持ちでこちらを見ている。
育ちのよさそうな、礼儀正しい子だった。
「息子さん、あの学校なんだ。すごいね、中学受験したの?」
制服を見ればわかる範囲の、ただの世間話のつもりだった。
ところが彼女は、さっと表情を変えて息子の腕を引いた。
「余計なことは、黙ってなさい」
その一言に、私は固まってしまった。
声のトーンが、明らかに私を警戒していた。
「いろいろ探られるから、答えなくていいのよ」
探る、という言葉が胸に刺さった。
私はただ、久しぶりに会えた友人の近況を喜んでいただけだったのに。
「うん…じゃあ、また今度ね」
当たり障りのない言葉を残して、その場はすぐに別れた。
駅までの道すがら、久々の再会だったのに、心には小さな棘が刺さったままだった。
あんなに仲がよかったのに、どうしてあそこまで身構えられたのだろう。
地元の友人が教えてくれた事情
もやもやしたまま、地元に残る別の友人にその話をした。
すると彼女は、ああ、と苦笑いした。
「あの子、今お受験にすごく躍起になっててね」
塾選びから面接対策まで、とにかく情報を握られたくない一心なのだという。
同じ学校を狙うライバルに、ノウハウを知られたくないのだと。
「だから最近、誰にでもああやって気を張ってるみたい」
その言葉で、あの警戒の理由がやっと腑に落ちた。
私は敵でもライバルでもないのに、彼女の中では、誰もが手の内を探る相手に見えているらしい。
なんだか気の毒になって、私は肩の力が抜けた。
「そんなに気を張らなくても、いいのにね」
子どもの受験に必死になるあまり、旧友との何気ない再会まで身構えてしまう。
その狭さが、少しだけ哀しく見えた。
思えば、あんなに世間話が好きだった彼女が、我が子の学校の名前ひとつで顔色を変えるようになっていた。
受験というものが、人をここまで変えてしまうのかと、静かに驚いた。
後日、彼女から短いメッセージが届いた。この前はごめん、気が立っててと。
私は「気にしてないよ」とだけ返した。
こちらは初めから何も探る気などなかったし、これからも変わらず、ただの友人でいるつもりだ。
肩肘を張り続ける彼女を思うと、のんびり構えている自分のほうが、ずっと身軽でいられる気がした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


