Share
「昼飯は何でもいい、任せるから」妻が決めた途端に文句を言う夫。だが、妻の提案で夫の態度が変わった

「任せる」の後にくる文句
休日の昼どき、私が「お昼どうする?」と尋ねると、夫はいつも決まって同じ返事をした。
「昼飯は何でもいい、任せるから」
その言葉を信じて、私は冷蔵庫の中身と相談しながら献立を決める。
今日はパスタにしよう、と手を動かし始める。
ところが、鍋に湯を沸かしたころになって、夫は決まってこう言うのだ。
「うーん、やっぱり別のほうがよかったかな」
任せると言ったのは夫のほうなのに、いざ決まると文句が飛んでくる。休日のたびに繰り返されるこのやりとりに、私の中には小さな不満が積もっていった。
出かける予定も同じだった。
「家でゆっくりしよう」と言うから支度をやめると、準備を始めた途端に「やっぱり出かけよう」と覆される。せっかくの休みが、そのたびに少しずつすり減っていく気がした。
私だって、意地悪をされているとまでは思わない。ただ、決めるまでの手間はいつも私が引き受けて、夫は出来上がったものに感想を述べるだけ。
その繰り返しが、じわじわと不公平に感じられた。せめて先に希望を教えてくれたら、こんなにやり直さずに済むのに、と何度もため息をついた。
一枚の紙が変えた休日
あるとき私は考えた。夫は意地悪をしているわけではない。ただ、決める役目を私に丸投げして、後から思いつきを口にしているだけなのだ。ならば、先に希望を出してもらえばいい。
次の休日、私は小さなメモ用紙とペンを夫の前に置いた。
「今日から、お昼と予定は先にここへ書いてね。書いたことには、私も文句なしで従うから」
夫は少し面食らった顔をしたが、面白がるように「じゃあ、ラーメン」と書き込んだ。
私はその紙のとおりにラーメンを用意した。
すると不思議なことに、夫の口から「別のほうが」という言葉は出てこなかった。自分で選び、自分で書いたのだから、後から覆しようがない。文句のつけどころが、初めからなくなっていたのだ。
出かける日も同じだった。
「午前は買い物、午後は家でゆっくり」と紙に書いてもらう。予定が目の前に形として残ることで、夫の気まぐれな思いつきは、するりと影をひそめた。
「書くと、なんだか決心がつくんだよな」
夫は照れくさそうに笑った。頭の中でぼんやり考えているだけだから、後からころころ変わる。文字にすれば、自分の言葉に責任が生まれる。
それを、夫自身が実感したようだった。
それからというもの、私たちの休日から口論が消えた。紙に書かれた希望どおりに動けば、二人とも気持ちよく過ごせる。
たった一枚のメモが、長年のもやもやを、静かに片づけてくれたのだった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


