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「ありがとうの一言もないの?」汚すぎる台所。掃除を押し付けた母の許せない態度とは

「ちょっとキッチン、やっといて」
休日の朝、リビングに顔を出すと決まって母から声がかかる。
「ちょっとキッチン、やっといて」
それだけ言い残して、母はソファに横になった。
数分もしないうちに、低く重いいびきが聞こえてくる。
仕方なくキッチンに向かうと、毎回ひどい状態だった。
シンクには前の晩の食器が積み上がり、コンロの五徳には焦げた油がこびりついている。
どこから手をつけるかを決めて、黙々と作業を始める。
食器を洗い、シンクをこすり、コンロ周りを拭き上げて、排水口を取り外して洗う。
最後に調理台を水拭きして、床の油跳ねを確認する。一通り終えるまでに一時間以上かかることもあった。その間、母が起きてくる気配はない。
腰を伸ばして振り返っても、母はまだ眠ったままだ。
リビングから届くいびきは変わらず続いている。窓から差し込む光が少し動いて、それだけ時間が経ったことに気づく。
達成感がないわけではない。きれいになったシンクを見ると、少しだけ気持ちがすっきりする。
それでも、誰かに「きれいにしてくれてありがとう」と言われることと、誰にも気づかれないことでは、まるで違う。でも同時に、なぜ自分がここにいるのかという疑問も、静かについてくる。
ありがとうの一言もない
やがて母が起きてくる。きれいになったキッチンを一瞥して、何も言わずに冷蔵庫を開けた。
「ありがとうの一言もないの?」
心の中でそう思うけれど、口には出せない。
これが毎週のことだから、言い出すタイミングをずっと失っていた。
何度か伝えようとしたこともあったが、言葉を探しているうちに話題は変わってしまう。
掃除をさせられること自体への不満よりも、終わったあとの静けさがこたえた。
頑張ったね、でもなく、助かったよ、でもない。まるで空気を吸うように当然のこととして扱われていた。
せめてお小遣いでも、と思ったことは一度や二度ではない。
お金の多い少ないではなく、手間をかけたことへの見返りが何かあれば、気持ちが違ったかもしれない。でも、それもなかった。毎週毎週、ただ終わるだけだった。
母のことが嫌いなわけではない。でも、自分の時間と労力がどこにも届いていない感覚が、少しずつ積もり続けていた。
家族だから、という言葉がどこかで免罪符のように機能していて、それがかえって言い返せない理由になっていた。今もそのモヤモヤの正体を、うまく言葉にできないでいる。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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