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「クビになって実家に戻ったのよ」在宅勤務で実家に帰っただけなのに噂を流す近所の女性。だが、直接否定した結果

噂が一瞬で回る町内
私の実家がある町内は、お年寄りが多い。
よく言えばみんなが顔見知りで、悪く言えば噂が一瞬で広まる場所だ。誰かが新しい車を買えば、その日の夕方には向かい三軒に知れ渡っている。
都会の会社に勤めていた私は、在宅勤務に切り替わったのを機に、しばらく実家へ戻ってくることにした。
平日の昼間に家にいる時間が増え、洗濯物を干す私の姿もよく見られていたと思う。
それがいけなかったのか、町内で妙な噂が回り始めた。あそこの娘は仕事もせず親元に転がり込んでいる、という筋書きだった。
母がゴミ出しのついでに耳にしてきて、困った顔で教えてくれた。
「あなた、東京でクビになったって言われてるらしいわよ」
身に覚えのない話だった。私はただ、パソコン一台で以前と変わらず仕事を続けているだけだ。それでも平日の昼間に家にいるというだけで、勝手な物語が組み上がっていく。
「クビだなんて、とんでもないのにね」
母はため息をついたが、噂は日に日に尾ひれがついていった。私は次に本人と会ったら、隠さず本当のことを言おうと決めた。
町内清掃の日に
その週末、町内清掃の日がやってきた。ほうきやゴミ袋を手にした住民が、公園の前に十数人集まっていた。
私が挨拶をしながら加わると、噂の出どころらしい年配の女性が、隣の人にわざと聞こえる声で言った。
「あの子、クビになって実家に戻ったのよ」
周りの数人が、ちらりとこちらを見た。以前の私なら、うつむいて聞こえないふりをしていたと思う。でもこの日は、手を止めずに落ち着いて答えた。
「今は、在宅勤務に変わって、年収は倍になりましたよ」
女性の顔から、さっと表情が抜けた。
「え……そう、なの」
言葉を探すように口を開けたまま、その視線がゆっくり地面に落ちていく。
「今の会社は家からでも働けるんです。来月には昇進の話も出ていて、しばらくこの町から通うつもりなんですよ」
私が笑顔でそう続けると、女性は言い訳を探すように口を開いたが、言葉は出てこなかった。
「ずっと家で遊んでると思ってたのに……」
噂を信じていた別の人が、決まり悪そうにつぶやく。近くの住民が感心したように小さくうなずいた。
「今はそういう働き方があるのねえ」
張りつめていた空気が、ふっとほどけた。噂を広めた女性は、ほうきを握り直すと、そそくさと反対側の掃除へ移っていった。さっきまでの勢いは、もうどこにもない。
それ以来、その人は私を見かけると、先に小さく会釈してくるようになった。噂話の輪の中心にいた頃の顔つきとは、まるで別人のようだった。
穏やかな町のままでいい。ただ、事実は事実として、一度だけはっきりさせておいてよかったと思う。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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