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「長男置いてくから大丈夫」体調不良の祖母を置いて帰ろうとした叔母。だが、長男の姿に言葉も出なかった

悪気のない、しでかしの天才
私には、親戚一同から「しでかしの天才」と呼ばれている叔母がいます。
母の兄の妻にあたる人で、本人にまったく悪気がないぶん、余計に手に負えない存在でした。
子どもの頃、その叔母が私を遊園地に連れて行ってくれたことがあります。楽しみにしていたのに、叔母はなぜか自分と三人の子どもだけを同じゴンドラに乗せ、私ひとりを別のゴンドラへ乗せたのです。
「なんで私だけ別なの」
ぐるぐる回る観覧車の中で、私はずっと一人ぼっちでした。意味が分からず、家に帰ってから大泣きしたのを今でも覚えています。悪意はない。
ただ、抜けている。それが叔母という人でした。
母を亡くした夜の一言
叔母の伝説は、それだけでは終わりませんでした。
忘れられないのは、母を亡くした夜のことです。
その夜、祖母が急に体調を崩しました。
呼吸も苦しそうで、顔色も悪く、とても一人にしておける状態ではありません。
娘を亡くした直後の祖母を、誰かがそばで見ていなければならない。誰の目にも明らかでした。
ところが叔母は、玄関で靴を履きながら、こう言ったのです。
「最後やし、一緒にいたいやろ」
自分は帰る、と言い出したのです。
呼吸の苦しい祖母を置いて。私は思わず、その腕をつかんで止めました。
「おばあちゃん、一人にできないよ」
すると叔母は、まるで名案でも思いついたような顔で振り返り、言いました。
「長男置いてくから大丈夫」
頼みの綱は、隣で爆睡
その言葉に、私は一瞬ほっとしかけました。
長男が残ってくれるなら、大人の目がある。
祖母を任せられる。そう思ったのです。
けれど、その長男はというと、すぐ隣の部屋で大の字になって爆睡していました。
何度声をかけても、まったく起きる気配がありません。頼みの綱は、いびきをかいていたのです。
叔母は満足げに帰っていきました。結局その夜、祖母は嘔吐を繰り返し、私が付き添って救急外来へ向かうことになりました。
処置室の廊下で朝を待ちながら、私はあの一言を何度も思い返しました。
あのまま言葉を信じて任せていたらと思うと、今でも背筋がひやりとします。
昔は、叔母を見るたびにゾッとしたものです。
けれど人は、慣れる生き物なのだそうです。今では親戚一同、次は何をやらかすのかと、密かに期待さえしています。
悪意のない天然は、笑い話と紙一重の場所で、ずっと私たちをひやひやさせ続けているのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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