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出産後、退院の日に来た夫が手ぶらのまま1時間以上居座り「育児の協力は出来ない」と言い放った→価値観の違いに頭がぐらぐらした

退院当日、夫は手ぶらでやってきた
出産を終えて、やっと退院できる日がやってきた。出産の疲れはまだ全身に残っていて、体を動かすたびに鈍い痛みがあった。荷物をまとめながら、夫が迎えに来てくれると聞いて、少しだけほっとしていた。
病室のドアが開いて夫が入ってきたとき、わたしは思わず目を細めた。荷物を持ってきてくれたかと思ったが、夫の両手は何も持っていなかった。出産後に必要なものを一緒にリストアップしていたはずだったが、そんな話は頭にないようだった。
夫はベッドのそばに座り込み、スマートフォンをいじりはじめた。退院の手続きがあるからと声をかけても「うん、うん」と生返事が返ってくるだけだった。体はまだぼろぼろなのに、重い荷物を自分で持って廊下を歩かなければならなかった。
手続きの窓口に並び、書類にサインをして、荷物をまとめて。ひとつひとつをこなすたびに、体にじんわりとした痛みが広がった。出産翌日の体は、まだ思うように動かなかった。そばにいる夫が何かを手伝う気配は、最後まで感じられなかった。
結局、夫は1時間以上そこに居座り続けた。退院の手続きも、荷物の整理も、全部わたしが一人でこなした。出産直後の体に1時間以上の拘束は、想像以上にこたえた。
「育児の協力は渡せない」
ようやく家に帰れると思ったとき、夫がふと口を開いた。
「悪いけど、育児の協力は出来ない」
一瞬、意味が飲み込めなかった。家族から、育児の協力はできないと言われたという意味らしかった。淡々とした声で、まるで業務連絡のように告げられた。
頭がぐらぐらした。産んだ直後の自分に向かって、育てることに関わるつもりはないと言い切る人が目の前にいた。育てる側の何を見てそういう言葉が出てくるのか、まったく理解できなかった。
悲しいとか怒りとかよりも先に、ただ困惑だけが広がった。同じ家に住んで、同じ子どもの親になるはずなのに、こんなにも見ている方向が違うのかと思うと、言葉が出てこなかった。この人は今日、わたしが何をしてきたかを、どう見ていたのだろうか。
退院の日に感じるはずだったほっとした気持ちは、どこかへ消えてしまった。かわりに残ったのは、答えが見つからないままのモヤモヤだった。この人と一緒に子どもを育てていけるのか、という問いが頭のすみに張りついたまま、家への道を歩いた。
答えはまだ出ていない。でも、あの日の光景は、しばらく頭から離れそうになかった。夫がこれから何を担うつもりなのか、それともこのまま担わないつもりなのか。聞けないまま時間だけが過ぎていった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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