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「時間がないから後回しでいい」人手不足に追われ続けた職場→粘り強い調整で納品が通った瞬間に達成感が込み上げた

「時間がないから後回しでいい」人手不足に追われ続けた職場→粘り強い調整で納品が通った瞬間に達成感が込み上げた
「後回しでいい」が積み重なる毎日
30代になって数年が過ぎたころ、私が所属するチームは慢性的な人手不足に陥っていた。
プロジェクトの数は変わらないのに、担当できる人間が少ない。
毎朝タスクリストを開くたびに、昨日の残りに加えて新しい案件が積み上がっている。
「時間がないから後回しでいい」
直属の主任からよく飛んでくる言葉だった。
本来であれば丁寧に準備をして臨むべき案件でも、スピード優先で処理するよう求められる。
急ぎで仕上げた成果物を送るたびに、もっと細部まで詰められたはずだという後ろめたさが残った。
品質を上げたいのに、時間が足りない。
そのジレンマが積み重なって、仕事への手応えが少しずつ薄れていく感覚があった。
このままでいいのか、と自問しながらも、忙しさに流されて答えを出せないまま日が過ぎていった。
誰も動かなかった案件を自分で引き取る
そんな状況の中で、ひとつの案件が宙ぶらりんのまま放置されているのに気づいた。
複数の関係者の承認が必要なのに、誰もイニシアチブを取らず、連絡のやり取りが途切れたままになっていた。
週が変わっても、誰も動く様子がない。
「この案件、誰が担当するんですかね」
打ち合わせで口にしてみたものの、反応は薄かった。主任は「時間があれば誰かが動くだろう」という雰囲気を漂わせるだけで、明確な指示は出なかった。
私はその案件を自分で引き取ることにした。
関係する部署の担当者に一人ずつ連絡を入れ、確認が必要な箇所をリスト化して送った。
レスポンスが遅い相手には、リマインドのタイミングを計算しながら何度も丁寧にフォローした。
週をまたいで調整が続いたが、少しずつ各所の合意が取れていった。
そしてある金曜日の夕方、最後の承認が下りた。
達成感と一緒に込み上げてきたもの
納品の完了報告をメールで送ったとき、画面の前でしばらく動けなかった。
達成感というよりも、長く続いていた緊張がほどけていく感覚に近かった。誰かに任せることもできたのに、自分でやりきった。その事実が、静かに胸に刻まれていった。
後日、先方の担当者から「スムーズに進めていただいてありがとうございます」という短い一言が返ってきた。誰かに認められたくて動いたわけではないが、受け取ったとき素直に嬉しかった。
人手不足の職場では、自分から動かないと何も変わらない。段取りと粘り強さがあれば、条件が悪くても仕事はきちんと動かせる。その確信が今の自分の背骨になっている。
「時間がないから後回しでいい」という言葉が飛び交う中でも、自分の基準を下げなくてよかったと今でも思う。あの案件を動かした経験は、仕事への向き合い方を変えてくれた一歩だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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