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「だったら昨日のご飯代を返してください」初対面の食事代を払ってくれた相手。お断りした翌日に届いた連絡に残った残念な気持ち

奢られて食事を終えた夜
マッチングアプリでやり取りを続けていた相手と、初めて顔を合わせる夜だった。
事前のメッセージでは穏やかな雰囲気で、共通の趣味の話で盛り上がっていた。
私は最初から自分の分は自分で払うつもりで、財布を出すタイミングも決めていた。
だけど会計の段階になり、相手が先にカードを差し出した。
「ここは自分が出すよ」
強く断るのも空気が悪くなる気がして、ありがたく甘えることにした。
お礼を言いながら、心の中では今度は私から軽くお茶でも、と考えていた。
お店を出て夜風に当たりながら、メッセージで知っていた印象とは少し違うな、と感じ始めていた頃だった。
「このあと少しだけ、ホテル寄って話そうよ」
耳を疑ったまま、笑って受け流すしかなかった。
出会ってまだ数時間で、しかも初対面の相手から出てくる言葉として、私の中ではどう考えても受け入れられなかった。
その場できっぱり断り、駅でそのまま解散した。
電車に揺られながら、頭の中ではあの一言だけが何度も繰り返されていた。家に帰ってお風呂に入っても、ずっと違和感が残っていた。
翌日に届いた一通のメッセージ
このまま連絡を取り続けるのは難しい。そう判断した私は、翌朝になってから、丁寧な言葉で「もうお会いするのは控えさせてください」とメッセージを送った。
お互いのために早めに区切りをつけたかったし、何より自分の中で気持ちがはっきり決まっていた。
返信は数分後に届いた。
「だったら昨日のご飯代を返してください」
何度読み返しても、同じ文面だった。
先に出すと言ってくれたのは相手のほうで、こちらから頼んだ覚えはない。
誘いを断ったとたんに金額の話に切り替わる感覚が、純粋に怖くて、少しだけ泣いた。
(もめるくらいなら、払って終わりにしたほうがいい)
少し迷ってから、自分の分よりも気持ち多めに振り込んで、その旨だけ伝えてアプリのやり取りを終えた。
返事は来なかったし、こちらからも二度と送らなかった。お礼を言って受けた厚意を、後から金額として清算するなんて発想が頭にもなかったぶん、画面を閉じる手が少し震えた。
支払いを済ませてしまえば気持ちは軽くなるかと思っていたのに、画面を閉じたあとも胸の奥に小さなしこりが残った。
あの食事は何だったのか。誘いを受けないなら払い直せ、という発想を当然のように向けてくる人がいる事実だけが、ぽつんと残った。
次に誰かと会うときは、自分の分は最初から自分で払う。そう静かに決めただけの夜だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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