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「男の人はキッチンに入っちゃダメなの」夫が台所に立った瞬間に義姉が放った不平→長男の一言で空気が一変

毎回作ってもらうのが申し訳なくて
義実家への帰省は年に何度もあるイベントです。
義母はいつも料理を準備してくれていて、私はそのたびにありがたさと申し訳なさが半々で胸につかえていました。
歳を重ねた義母にばかり負担をかけるのは違うと感じ、その日は思い切って自分が中心で動くと決めたのです。
朝のうちに夫と一緒に近所のスーパーへ買い出しに出かけ、献立も私が組み立てました。
台所に立つのも私で、夫は隣で野菜を切ったり鍋を見ていてくれる係。
慣れないキッチンでも、二人で動けばどうにかなりそうな空気が流れていました。
ところが鍋から湯気が立ち始めた頃、義姉がふらりと顔を出しました。手を貸してくれるのかと思ったその直後、彼女はわざとらしく天井を見上げて言ったのです。
「男の人はキッチンに入っちゃダメなの」
誰に向けた言葉なのか、よく分かる口ぶりでした。
夫はバツが悪そうに包丁を置きかけ、私は咄嗟に返事を飲み込みました。義実家のルールに口を挟むのは難しく、その場の空気がじわりと重くなったのです。
テーブルから立ち上がった長男
その時、リビングのテーブルでお絵描きをしていた長男が、ぱっと顔を上げました。
小学校に通い始めたばかりで、まだ大人の話に割って入る年齢ではありません。けれど、彼は鉛筆を置いて、しっかりと義姉の方を見たのです。
「ママ、ばあばが前に言ってたよね。誰が何に入っちゃダメとか、決めつけるのって」
そう前置きしてから、長男は静かに続けました。
「それってイジメだよ。よくないんだよ」
普段は穏やかな子の、はっきりとした声でした。
義母自身が日頃から孫に伝えていた言葉を、孫が場面で持ち出した形でした。
大人たちが何も言えない数秒のあいだ、夫が静かにコンロの火を弱めました。
長男は私の手を取って小さく頷き、それ以上の説教めいたことは言いません。
私は「最後まで作ろうね」とだけ声をかけて、また調理に戻ったのです。
その日の食卓は妙に静かでした。
けれど夫がキッチンに立っても、義姉は二度と同じことを口にしません。
次の帰省でも、その次でも、台所の出入りに視線が飛ぶことはなくなったのです。
子供の真っ直ぐな一言が場の何かを変えてしまった事実が、今でも胸に残っています。
帰り道の車内で長男はもう普段の表情に戻っていて、好きな番組の話を楽しそうに話していました。
私はハンドルを握る夫と顔を見合わせ、誰も言葉にしないまま小さく笑った瞬間を覚えています。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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