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「イベントの度に家族だけで撮るのが恒例なんだ」結婚式で夫が放った一言。花嫁である私が、家族に含まれなかったワケ

家族だけのコンパクトな式
派手な披露宴は性に合わなかった。
私たちが選んだのは、両家の家族だけを呼んだコンパクトな結婚式だった。
会場に流れるのは静かなBGM、テーブルには小ぶりの花。
専属のカメラマンを一日お願いし、和やかに進行していた。
義両親、義姉が二人、甥っ子たち。
夫側だけでも結構な人数で、にぎやかな笑い声が絶えない。
私側の家族は人数こそ少ないけれど、母が何度もハンカチで目元を押さえてくれていた。
挙式を終えた頃には、ドレスの裾が少し重く感じるくらい、心地よい疲れが体に溜まっていた。
全員での集合写真のあと
セレモニーが落ち着き、カメラマンが「では集合写真を」と全員を中庭に促した。
新郎新婦を中心に両家の家族が並び、笑顔でシャッターが切られていく。私はドレスの裾を整えながら、自分の人生にこんな日が来たのだという実感を、ゆっくり噛み締めていた。
撮影は和やかに進み、最後の一枚で全員が拍手をした。
けれど、その直後だった。夫が突然、嬉しそうな顔でカメラマンに言った。
「うちはイベントの度に家族だけで撮るのが恒例なんだ。ちょっと待ってて!」
その「家族だけ」の中に、私が含まれていないことに、私は数秒経ってから気づいた。
隅で立ち尽くした花嫁
夫はそう言いながら、義両親、義姉二人、甥っ子たちのもとへ駆け寄っていった。
みんなも当然のように夫を中心にして、ぎゅっと寄り集まる。
慣れた並びだった。誕生日も、お正月も、こうして撮ってきたのだろう。
(えっ…私、家族じゃないんだ)
声には出せなかった。ウエディングドレスのまま、私はその輪から少し離れた場所でぽつんと立ち尽くしていた。
視界の中で、夫の家族だけがフレームに収まっていく。今日の主役のはずの白いドレスが、急に場違いな衣装に思えてきた。
気まずい空気を察したカメラマンが、「奥様もご一緒にどうぞ」と小さく声をかけてくれたのが救いだった。
促されて私が輪に近づくと、義姉たちは「あ、そうそう」と笑って場所を空けてくれた。
嫌な人たちではない。悪意もない。それが分かっているからこそ、たちが悪い。
「お邪魔して、すみません」
口から出たのは、自分でも信じられない言葉だった。
花嫁が、自分の結婚式で、夫の家族の写真に「お邪魔して」と謝っていた。
シャッターは切られたけれど、その一枚に映る私の表情を、私は今も直視できない。
たった一日の出来事のはずなのに、思い出すたびに胸の奥がきゅっと縮む。一生もののモヤモヤだった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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