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「あの嫁さん、化粧が派手すぎるのよね」幼い頃に親戚の食卓で文句を並べた兄嫁→数年後に伯父の浮気で苦しむ姿を見た瞬間

親戚の食卓で延々と続いた他人の悪口
父方の祖母の家には、お盆と正月のたびに親戚一同が集まりました。
長いテーブルの一番奥に座るのは父方の祖母で、その近くにいつも腰を落ち着けていたのが、父の兄の妻、つまり伯母にあたる人でした。
私はまだ小学校に上がったばかりで、子ども用の小さな椅子に座って、煮物の人参を端っこから食べていました。
大人たちのお酒が回ってくると、祖母と伯母の口から次々と他人の話が転がり出てきます。
近所の奥さん、町内会の役員、別の親戚の嫁さん。誰一人として褒められていない。子ども心に、二人がほとんど同じ調子で、誰かのあらを探しては笑い合っているのが、不思議で仕方なかったのです。
話題は、その人の性格に始まり、子どもの成績、夫の収入、果ては家の玄関に飾ってある花の趣味の悪さにまで及びました。
テーブルの隅で炊き込みごはんを口に運びながら、私はだんだん耳がふさがれていくような気持ちになっていきました。
とりわけよく覚えているのは、伯母が祖母にむかって放った一言でした。
「あの嫁さん、化粧が派手すぎるのよね」
祖母が深くうなずきながら、また別の親戚の悪口へと話を継いでいきます。私の母は隣の席で、ただ静かに微笑むだけでした。
台所で水音を立てていた叔母も、何も言わずに茶碗を洗い続けています。誰も止めない。誰も笑わない。そんな食卓が、毎年あたりまえに続いていたのです。
幼いながらに、私はぼんやりと思っていました。この人たち、深く関わってはいけないかもしれないと。
口に出すには大きすぎる言葉を、お味噌汁と一緒に呑み込んでいました。
大人になって耳に入ってきた伯父の浮気と、苦しむ伯母の姿
時が流れて、私は三十代になりました。久しぶりに親戚の集まりに顔を出した夜、母がこっそり私の袖を引いて、廊下の隅でぽつりと打ち明けてきたのです。
「お父さんのお兄さん、ずっと外に女の人がいたみたい」
父の兄、つまり伯父は、若い頃から繰り返し浮気をしていたのだそうです。
今回もまた発覚し、伯母は何日も泣き暮らしていると母は声をひそめて続けました。リビングのソファに目をやると、伯母は化粧の崩れた顔で、湯飲みをじっと見つめています。
あの頃、人の見た目をあれだけ細かく品定めしていた人が、髪も結ばず、目元を腫らして座っている姿でした。
正直に言えば、私の胸の奥には、ふっと風が抜けたような軽さが広がりました。あれだけ他人の中身を否定し続けた人が、結局は自分の家庭の中身に苦しんでいる。
性格が悪いと自分でも分かっています。それでも、子どもの頃から呑み込んできた小さな違和感の塊が、ようやく一つだけほどけていったのでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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