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「あなたの実家から通勤すればいいね」義妹の新しい就職先を探してる際に、義母が放った信じられない提案

義妹の就職活動から始まった違和感
結婚していた頃の話。当時の私は30代で、義妹は、ちょうど就職先を本格的に検討する時期に入っていた。
ある週末、夫の実家に呼ばれて夕食をともにした。話題はもっぱら義妹の進路についてで、義母はあれこれと候補先を口にしていた。
「あの会社はどう?」
「こっちの会社のほうが安定してるんじゃない?」
義妹がふと、ひとつの会社の名前を挙げた。私の実家の近所にある会社だった。
「ここ、いいなって思ってるんだよね」
そう聞いて、私は「いい場所ですよ」とだけ相づちを打った。
実家の最寄り駅から数駅、通勤にも便利な町だ。
そのときだった。義母がぱっと目を輝かせ、テーブル越しに私のほうを向いた。
「あら、じゃあ」
「あなたの実家から通勤すればいいね」
明るい、思いつきの口調だった。
義妹も「えー、いいの?」と笑顔になっている。義母は止まらず、「お母さんも安心できるし、家賃もかからないし、ちょうどいいわよね」と続けた。
私の実家は、当時、定年を迎えたばかりの両親がふたりで暮らしていた。広い家ではない。
そして、何より。両親には、義妹を引き受ける筋合いがなかった。
夫の擁護を一蹴して放った一言
夕食を終えて自宅に戻った車内で、私は夫に静かに切り出した。
「ねえ、なんでうちの母が他人の面倒をみるの?」
義母の発言が、当然のものとして空気に溶けていたことが、どうしても飲み込めなかった。
夫は前を向いたまま、当たり前のように返してきた。
「他人じゃない、親戚だろ」
その瞬間、こちらの体温がすうっと下がっていくのが分かった。
私は息を整えて、低い声で言った。
「は?他人です」
夫はぐっと言葉を呑み込んだ。信号で停まった車内が、静かになった。
言いたいことは溢れていた。
義妹はもう成人で、自分で仕事を選べる年齢だ。通勤で生活が苦しいなら、職場の近くにアパートを借りるなり、自分の実家から通うなりすればいい。
そもそも私の両親は、義実家とは血のつながりがない。義妹にとっても、ほとんど面識のない他人だ。
「親戚」のひと言で、勝手に部屋を提供できると思われては困る。
家に帰り着く頃には、夫はもう「親戚」とも「他人」とも言わなくなっていた。
後日、義母には夫からきっぱり伝えてもらった。「妻の実家から通うのは無理です」と。
義妹はその会社を選ばず、別の道に進んだ。
あのとき、流されて受け入れていたら、両親の老後の生活までも巻き込んでいたはずだ。
「は?他人です」のひと言は、今でも自分を守ってよかったと思える、数少ない冷静な一撃だ。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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