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「介護は全部任せるよ」義母の介護を義弟に丸投げされた私→法事で突きつけた書面に絶句

電話一本で押しつけられた介護
義母の介護が始まった日、遠方に住む夫の弟から、夜遅くに電話がかかってきた。受話器の向こうの声は、ためらいもなく、まるで天気の話でもするように軽かった。
「介護は全部任せるよ」
「お義姉さんは稼いでいるからいいよね。うちは余裕がないから」
受話器を握る手が、すっと冷えていく感覚があった。私は寮生活をする息子のサポートと、フルタイムの仕事を両立させながら、もう限界の手前まで身を削っていた。
それでも、義母をひとりにはできない。通院の付き添い、薬の管理、デイサービスの手配、入院費の立て替え。仕事を抜けるたびに有給は減り、貯金は介護費用に消えていった。
義弟は、一度も顔を出さなかった。
電話の様子伺いすら、片手で数えられるほど。「うちは余裕がないから」の一言が、すべての言い訳になっていた。
義母を見送ったあと、その「余裕がない」が消えるかと思ったが、四十九日の席で義弟が口にしたのは、また同じ話だった。
親族の前で広げた一枚の書面
「で、お義姉さん。これからの仏壇とか、お墓のこととかさ」
義弟は親族の前で、当たり前のように切り出した。
法要のあとに、また私に押しつけるつもりなのは、その口ぶりで分かった。
私は、鞄から一枚の紙を取り出した。
介護が始まった日から看取りまで、3年半のあいだに動いたお金と、私が消化した有給の日数。
すべて表にまとめて、合計欄に赤い線を引いてある。
立て替えた医療費と介護用品代、合計187万円。私が使った有給は、3年半で64日。
「これだけの負担を強いて、まだお願いするの?」
静かに告げた瞬間、座敷の空気がぴたりと止まった。
義弟の顔から、表情が抜け落ちていく。
誰もフォローに入らなかった。これまで義弟をかばってきた親族も、書面に並ぶ数字の前ではひと言も発せない。
「もう、結構です」
私はそれだけ言って、義弟との縁を切った。
法要の帰り道、夫が静かに頭を下げた。「ごめん、もっと早く言うべきだった」と。
家に着いて玄関の鍵を回したとき、ようやく自分の肩の荷が下りた音が聞こえた気がした。
自分勝手な親族をひとり手放しただけで、家族の食卓はこんなに穏やかになるのか。
湯気の立つ味噌汁を前に、息子の他愛ない話に笑える夜が、3年半ぶりに戻ってきた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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