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「金返せ」別れようとした彼からの一方的な要求。知人のふりまでして、電話をかけてきた彼の本性

引越しの最中に鳴り続けた電話
付き合っていた頃から、彼は自分の気持ちをはっきり言葉にできない人だった。やりたい仕事があったが、実家の家業も継がなければならない。どちらにも踏み切れないまま、決断を先送りにして周囲を振り回し続けた。
私が何か意見を言おうとすると、話をはぐらかすか、不機嫌になるかのどちらかだった。
正面から向き合うことを嫌がる人だと、付き合いが長くなるほど感じるようになっていた。
そんな関係に限界を感じた私は、ある日ついに別れを切り出した。彼は黙ってうなずいた。それが終わりのはずだった。
新しい生活に踏み出すため、引越し作業に追われていた矢先のことだ。
彼からの電話が何度もかかってきた。最初は無言。次第に「話したい」「会ってほしい」と繰り返すだけで、会話にならない。着信を無視し続けていた。
やがて今度は、見覚えのないメールアドレスから連絡が届いた。
「彼の友人です」と名乗っていたが、文体も言い回しも彼そのものだった。「友人」を名乗った文章は、私が彼を傷つけたと責め立て、関係を続けるよう促してくる。
それが一通では済まなかった。
「金を返せ」という要求と縁の切り方
さらに数日後、共通の知人を名乗る人物からも電話がかかってきた。
内容は「彼がひどく落ち込んでいる、話だけでも聞いてやってほしい」というものだった。
本人の電話。偽名のメール。知人を名乗る電話。
違う経路から次々と届く連絡に、胃の底が冷えていく感覚がした。
やがて彼から直接、こんな言葉が届いた。
「金返せ」
私に借りた覚えなど一切ない。しかしこのまま連絡が続くことへの恐怖が、私の判断を鈍らせた。
彼に手渡す前に、一つだけ条件を突きつけた。
「二度と連絡してくるな」
彼は神妙な顔でうなずいた。お金を受け取ると、それ以降は連絡が来なくなった。引越しも無事に終わり、ようやく新しい生活が始まった。
ほっとしたと同時に、じわじわと恐ろしさが込み上げてきた。あの本人・偽名・知人という多重の連絡攻勢は、すべて最初から計算されていたのだろうか。そうだとしたら、どれだけの時間と労力をかけて実行したのか。
別れてから何年も経った今でも、ふとした瞬間に思い出す。どこかで元気にしていることはわかっている。
でも今思うと、背筋がゾッとする。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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