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「あの子とデートしてきたんだよね」バイト先で平然と話す彼→仲良し雰囲気の夏が終わった瞬間の苦さ

バイト先で芽生えた、確かな距離感
大学3年の夏前のことを、今でもときどき思い出す。
同じバイト先に、ひとつ下の男の子がいた。同じ大学の後輩で、シフトが重なると自然と話す仲になっていた。
特別なことをしたわけじゃない。休憩中に話して、帰り道が同じ方向なら少し並んで歩く、そういう関係だった。
付き合っているわけじゃなかった。
ただ、互いにそれ以上を意識していたのは確かだったと思う。
少なくとも私はそうだった。一緒にいると楽しかったし、次のシフトが楽しみだった。
夏休みに入ると、彼は地元へ帰った。
遠くはない場所だったが、バイトが休みになれば自然と連絡も減る。
そんな距離感を、私はどこか心地よく思っていた。
帰省中の飲み会でケンカになった
夏の半ば、地元に戻った彼と、共通の知り合いを含めた数人で集まる機会があった。
久しぶりに会えて嬉しかった反面、場の空気が思ったよりもざわついていた。
何がきっかけだったか、細かいことは覚えていない。
ただその夜、私たちはちょっとしたことでケンカになった。大したことではないはずなのに、なぜかうまく話が噛み合わず、後味の悪いまま別れた。
(気にしすぎかな。また会えばいつも通りになるだろう)
そう思っていた。
夏が終わってバイトが再開すれば、元に戻れると信じていた。
ところが、夏明けに出勤した日、彼の様子が明らかに変わっていた。
「あの子とデートしてきたんだよね」
休憩中、彼はほかのスタッフと話しながら、さらっとそのひと言を口にした。
「あの子とデートしてきたんだよね」
誰に向けたでもない、近況報告のような口ぶりだった。
バイト仲間の何人かが「いいじゃん」と笑った。
彼も笑っていた。私はその輪の少し外に立っていた。
胸に何かが刺さったような感覚があったが、表情には出さなかった。
ただ、その場の雰囲気に合わせてうっすら笑って、自分の持ち場に戻った。
仲良しだったと思っていたのは、私だけだったのか。
それとも彼にとって私はそういう存在ではなかったのか。ケンカが何かを決定づけたのか、それとも夏前からそういうことだったのか。何もわからないまま、その夏は終わった。
今となっては若い頃の話だ。ただ、あのとき感じた静かな苦さは、今も記憶の中にきちんと残っている。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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