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「うちの息子には援助はないのか」大学費用をめぐり陰口を続けた伯父。だが、法事で母が放った一言に黙り込んだ瞬間

祖父祖母が喜んでくれた合格
30代男性の私は、母方の親戚の中でただ一人、大学に進学した人間だった。
母方の家系は昔から勉強が苦手な人ばかりで、進学を選ぶ人がいなかった。
だから合格を伝えたとき、祖父と祖母の喜びようは一言で表せないほどだった。
「うちから大学に行ける子が出るなんてなぁ」
祖父は何度もそう繰り返し、その場で大学費用を全額出すと申し出てくれた。
祖母も涙ぐみながら、入学式に着る服のことまで気にしてくれた。両親はもちろん、私自身も胸が熱くなり、必ず結果で恩返しすると心の中で誓った。
ところが、その喜びに水を差す人がいた。
母の弟、つまり私の伯父だ。
伯父は私のいないところで、祖父の援助について繰り返し不満を漏らしていたらしい。
「うちの息子には援助はないのか」
そういった愚痴を、親戚の集まりのたびに低い声でこぼしていたと、後から従兄に教えられた。
私の合格を素直に喜んでくれた祖父祖母の気持ちを、横から削るような物言いに、聞いた瞬間は腹より先に冷たい違和感が広がった。
法事で母が返した一言
陰口は祖父の耳には入らないようにうまく避けられていた。
だが、母にだけはしっかり伝わっていた。
母は何も言わず、ただ静かに怒りを溜めているのが横で見ていてよく分かった。
私が「気にしないで大丈夫だよ」と声をかけても、母は短く頷くだけで、目だけは別の場所を見ていた。
機会は法事の席で訪れた。親戚一同が顔をそろえた中、母はまず祖父の前まで進み、深く頭を下げた。
「大学費用を払ってくれて、本当にありがとう」
祖父は照れたように笑い、母の肩を軽く叩いた。
私は隣でその様子を見ていた。母はそのまま振り返り、座敷の端にいた伯父のほうへ視線を移し、声の調子を少しだけ上げた。
「うちの子は頑張ったから今があるのよね、そっちは頑張ってなかったみたいだけど 」
場の空気が一瞬で固まった。伯父の息子が学力的に厳しい高校に通っていることは、その場の親戚全員が知っていた。
伯父は怒り狂った顔をしていたが、結局何も言えないまま視線を畳に落とした。
母の声は、伯父の耳に強く焼きついたはずだ。
私は表情を変えずにその場を離れた。
法事のあと、伯父からの陰口はぴたりと止んだそうだ。声を荒らげるでも、長々と説教するでもなく、祖父への感謝のついでに静かに釘を刺しただけ。母の一言が、長く溜まっていた不快感を一息に晴らしてくれた瞬間だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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