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「家の前で待ってる」毎日のように玄関先に立っていた職場で出会った男性→退職と同時に完全に縁を切った結果

優しさが少しずつ重くなっていった
同じ職場で出会った男性は、最初の印象がとても穏やかだった。
物腰がやわらかく、仕事にも真面目に向き合うタイプで、付き合い始めた頃の私は心からほっとしていた。
社内で見せる態度と、二人でいるときの態度に大きな差もなく、信頼できる人と巡り合えたつもりだった。
変化を感じたのは、半年を過ぎたあたりからだった。
連絡の頻度が増え、私の予定を細かく把握したがるようになった。
退社後の予定、休日の過ごし方、買い物に行く時間まで、世話を焼くという言葉で覆い隠すようにして踏み込んでくる。
「次の休みは何時に出かけるの?送っていくよ」
最初はありがたかった声かけが、やがて断りづらい監視のように変わっていった。
私が事情があって職場を離れる話をしたときも、彼は「じゃあ次の仕事も一緒に探そう」と当然のように口にした。
私の今後を心配する顔をしながら、自分の予定の中に私を組み込もうとしている響きがあった。
その瞬間、自分の暮らしに彼の役割がどんどん広がっていくのを感じて、息苦しさが胸に降りてきた。仕事のことも、住むところも、本当は自分の足で選び直したかった。
退職と同時に引いた一本の線
退職日が決まり、新しい仕事のために自分の時間を作る必要が出てきた頃、私は別れの話を切り出した。
やり直すつもりも、関係を続ける気持ちも、もう残っていなかった。
そこから数日、家の最寄りで姿を見かける日が続いた。
約束のない夜、玄関先に立つ姿を見て、ドアを開けるのが怖くなった。
「家の前で待ってる」
そう書かれたメッセージが、毎晩のように届いた。
読み返すほどに、自分の生活が彼に握られていく気がした。
話せばまた優しい言葉で揺さぶられる予感もあって、私は返信のボタンを押せなかった。
退職日を迎え、私は引き継ぎを終えると同時に、新しい生活の準備を一気に進めた。
電話番号もメッセージアプリも整理し、共通の知人にも事情だけ伝えて、連絡経路を一本ずつ閉じていった。
心配性だと自分でも思うほど、すべての糸を一度切るつもりで動いた。
新しい職場に通い始めた朝、玄関を開けても誰も立っていなかった。
夜の連絡もない。
あれだけ重たく感じていた毎日が、ふっと息を吐けるようになった瞬間だった。
スーパーに寄って自分の好きなものだけ買う、その当たり前が、こんなに身軽だったのかと驚いた。
未練を残さず、線を一本きれいに引けたこと。それが、あのときの自分にとって何より必要な決断だったと、今でも思っている。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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