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「なんで勝手に開けてるの?」新築の挨拶もそこそこに2階へ駆け上がった義姉→寝室の引き出しを開ける音に固まった

玄関で止まらなかった足音
マイホームを建てて、初めて義姉夫婦を招いた日のことです。
リビングでゆっくりお茶でも、と思って前日から茶菓子まで用意していました。インターホンが鳴って玄関を開けると、義姉は遠出のときに使うような大きなキャリーケースを足元にどんと置いたのです。
「お邪魔しまーす」
挨拶はそこまででした。
義姉はそのまま靴を脱ぐと、案内を待たずに階段を駆け上がっていったのです。
とんとんとん、と軽い足音が頭の上を抜けていきます。義兄が困った顔で「ごめんね」と頭をかきました。
追いかけて2階に上がった私は、寝室の前で固まりました。
引き出しを開ける、あの乾いた音が中から漏れていたのです。
(なんで勝手に開けてるの?)
のぞくと、義姉はクローゼットの扉を開け、私の服を順番に手に取って眺めていました。
悪びれた様子はありません。間取りを見るのと同じテンションで、ベッド脇のチェストの引き出しまで覗き込んでいたのです。
夫の一喝で止まったかに見えた
「ちょっと、それやめてもらえますか」
声が震えました。義姉は驚いた顔で振り返りましたが、すぐに「いいじゃない、家族なんだから」と笑い飛ばしたのです。
私が引かないでいると、口調はだんだん尖っていきました。
言い合いになりかけたところに、階段を駆け上がってきた夫が割って入ったのです。
「どうかしたんだ!?」
その一喝で、寝室の空気はぴたりと止まりました。
義姉は黙って1階へ降りていき、その日はそれ以上、寝室の話は出ませんでした。
私もきつく言いすぎたかなと、しばらくは飲み込むことにしたのです。夜、夫は「姉貴も新築が珍しかったんだろう」と苦笑いを見せました。
けれど、それで終わりではありませんでした。
半年後、義姉が再びうちを訪れたとき、また同じことが始まったのです。挨拶もそこそこに、今度は2階の納戸まで開けて回っていました。私が止めようとすると「前も見たし大丈夫よ」と笑うのです。
夫はそのとき、もう何も言いませんでした。
リビングのソファで、画面に目を落としたままだったのです。
私の中だけで、あの一喝の意味がじわじわと薄くなっていきました。
何のために怒ってくれたのか、本当に味方をしてくれていたのか、新しい壁紙の白さがやけに眩しく見えたのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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