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「一回起きてあげるからさ」出産前に夫が約束した夜泣き担当→子が生まれてから一度も守られない約束

「一回起きてあげるからさ」出産前に夫が約束した夜泣き担当→子が生まれてから一度も守られない約束
救われたはずの一言
妊娠後期、夜中に何度も目を覚ましてしまう私を見て、夫はこう言ってくれた。
「一回起きてあげるからさ」
「夜泣きは交代しよう。負担は分けないと、君が倒れちゃうから」と続けた声は、確かに優しかった。出産への不安で眠れない夜が続いていた私にとって、その一言は本当にお守りのようだった。
育児書を一緒に開いて、ミルクの作り方も練習してくれていたし、産院の母親学級にも一緒に通ってくれた。
沐浴の手順を熱心にメモする横顔を見ながら、私は静かに胸をなでおろしていた。
(この人と一緒なら、きっと大丈夫)
そう思える夜が、確かにあったのだ。
守られない約束
けれど、子どもが生まれてからの現実は違った。
夜中の二時、三時、明け方の四時。子は短いサイクルで何度も泣いた。私はそのたびに飛び起きて、おむつを替え、ミルクを温め、げっぷをさせ、寝かしつける。隣でぐっすり眠る夫を、何度も小さく揺すろうとしては、結局自分でやってしまっていた。仕事に響くのが怖かったし、起こした分の罪悪感に耐えるくらいなら自分で動いたほうが早い、という諦めもあった。
最初のうちは、夫もリビングまで顔を出してくれた日があった。けれど、抱っこを少ししただけで「やっぱり君のほうが上手だね」と笑って寝室に戻っていく。それが二週間ほど続いたあたりから、夫は泣き声がしてもまったく目を覚まさなくなった。
夫がようやく起きてくるのは、決まって九時半か十時。私が一晩中バタバタして、子もようやく機嫌よく笑い始めた頃だった。
「お、おはよう。かわいいねぇ」
そう言って子をあやす夫の後ろ姿を、私はキッチンで見ている。シンクには夜中の哺乳瓶。床にはおむつのゴミ袋。やわらかい朝の光の中で、夫だけが「いいところどり」をしているように見えた。
飲み込まれた違和感
「一度起きるって言ってたよね」と、何度も口の手前まで出かかった。
けれど、言ったところで何が変わるのだろう、という疲れがいつも勝ってしまう。私が抱える疲労感を言葉にしたところで、夫はきっと「ごめんごめん、明日は起きるね」と返すだけ。そして次の朝にはまた、寝起きの顔で「かわいいねぇ」と笑うのだ。
今日も泣き声で目を覚まし、暗い部屋でひとり子を抱き上げる。窓の外はまだ真っ暗で、世界中で起きているのは自分だけなんじゃないかと思えてくる。
(私は、何をしているんだろう)
救われたあの言葉を信じて結婚を決めたはずなのに。モヤモヤを抱えたまま、今日もまたバタバタと一日が始まっていく。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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