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「お前、本当にうちの嫁になる覚悟あるのか?」電話越しに義父から詰められた私→隣でスマホを触る婚約者に背筋が凍る

買い物の道中で連れ込まれた義実家
30代の私は、彼と同棲して2年目。
連休に入る少し前、婚姻届の本人欄をふたりで埋め終えていた。
残るのは証人欄ふたつ。誰に書いてもらうかを話し合っていたところだった。
婚約者は少し考えてから「うちの母さんと、俺の親友に頼もうか」と言った。私もその提案に納得した。
ただ、連休のさなかに義実家まで押しかけるのは先方に悪い。私は訪問は遠慮したい、と伝えていた。
連休の中日。近所のスーパーへ食材を買いに行く道中だった。
助手席に座っていた私は、車のハンドルがふいに別の方向へ切られたのに気づいた。
「ちょっと顔だけ出していこうか」
そう言って、婚約者は迷いなく住宅街の角を曲がった。行き先は、義実家だった。
仕事を抜けて駆けつけてくれた義母は、にこやかに私たちを迎えてくれた。リビングのテーブルに婚姻届を広げ、その場で証人欄に署名してくれる。
ペンを走らせる手を見ながら、私はただ会釈を返すしかなかった。
電話越しの圧と、隣で続いたスマホの音
署名を終えると、義母は当然のようにスマホを手に取った。
「お父さんにも、ひと言伝えておかないとね」
仕事中らしい義父に電話がつながり、義母は明るい声で報告を始めた。
空気が変わったのは、義母から私にスマホを渡された瞬間だった。
「お前、本当にうちの嫁になる覚悟あるのか?」
受話器の向こうから、こちらの返事を待たない強い声が落ちてきた。
うちの家風、長男の嫁の役目、ご先祖さまへの礼儀。一方的に言葉が積み重なっていく。
連休中の挨拶。お中元。年末の手伝い。口を挟む隙はなかった。
ひたすら頷きながら、横目で婚約者をうかがった。
彼はソファに深く沈み、俯いてスマホの画面を擦っていた。
こちらを庇うどころか、目すら合わせない。
義母も困惑した顔で私と婚約者を交互に見ていたが、口は挟まなかった。
長い数分が過ぎ、ようやく電話が切れた。手の中のスマホが、まだ熱を持っているように感じた。
帰りの車内、彼は黙ったままだった。私が「さっきの電話、ひどかったよね」と問いかけても、ハンドルを握る指先が小さく震えるだけだった。
アパートに戻った私は、寝室にいったん籠ってから夕飯の支度に立った。
自分用にはナスとひき肉の味噌炒めときゅうりの酢の物。彼の前には、三割引きで買ったハンバーグを温めて、ご飯の上に乗せて出した。
食卓を挟んでも、婚約者は手伝わなかった。スマホをいじり続け、詫びの一言も、こちらを気遣う一言もなかった。
(今夜から、和室で一人で寝よう)
冷えた廊下を歩きながら、静かに決めた。
結婚は勢いでしてはいけない。証人欄の余白を見つめながら、その言葉が胸の奥で重く沈んでいった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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