Share
「本当に学習能力がないわね」先輩の冷徹な言葉に心折れた新人ナース。退職を決意した私を救った一言

出口が見えない憂鬱な日々
「また同じミス?あなた、本当に学習能力がないわね」
氷のように冷たい先輩の声が、静まり返った病棟に響きます。
ずっと夢見ていた看護師の世界。しかし、そこで待っていたのは想像を絶する過酷な現実でした。
来る日も来る日も、細かいミスを咎められては呆れ顔をされる毎日。先輩の鋭い眼差しにビクビクするあまり、緊張からさらなる失敗を招いてしまうという泥沼にはまっていました。
「申し訳ありません、今すぐやり直します……」
震える声で頭を下げながら、胸の内では(もうこれ以上は無理かもしれない)と絶望感を募らせていました。
重たい足を引きずるように病室を回るにつれ、患者さんに笑顔を向けることさえ辛くなっていきます。
ナース服を着るだけで吐き気がし、夜勤前の更衣室で一人ひっそりと涙を流すことも日常茶飯事でした。
優秀な同期たちが次々と仕事を覚えていく中、私一人が取り残され、すっかり自信を失っていたのです。
絶望の淵で出会った温かい言葉
スマートフォンの画面で「退職届 書き方」と検索していた、ある日の午後。
いつも通り、長期入院されている患者さんのベッドへバイタルチェックに向かいました。
「お身体の調子はいかがですか?少し血圧を測らせてくださいね」
感情を押し殺して事務的に声をかけた私に対し、その患者さんは柔らかな笑顔を向けてくれたのです。
「いつもお世話様ね。あなたの顔を見ると、なんだかすごく安心するのよ」
思いもよらない優しい言葉に、私はハッとして血圧計を持つ手を止めてしまいました。
「あなたがいつも優しく気遣ってくれるから、心細い入院生活でも頑張れるの。本当にありがとうね」
その瞬間、今までギリギリのところで耐えていた心の糸が、フッと解けていくのを感じました。
自然と涙が溢れ出し、目の前の景色がぼやけていきます。
先輩からは「向いてない」と否定され続けてきた私。それでも、私の不器用な気遣いや言葉がきちんと相手に届き、心を救われている人が確かにここにいる。
必死に歯を食いしばってきた毎日は、決して無駄ではなかったのです。
「……っ、そんな風に言っていただけて、ありがとうございます」
涙声をごまかしながら、そう答えるのがやっとでした。
たった一人の先輩の言葉だけで、自分の価値を決める必要なんてない。
そのことに気がついた途端、肩にのしかかっていた重圧がすーっと消え去り、心がふっと軽くなるのが分かりました。
患者さんの心に寄り添うこと。それこそが、私が看護師を目指した原点だったはずです。
周囲の冷たい評価に振り回されるのはもうやめよう。私は私なりに、患者さんのためにできることを精一杯やっていけばいい。
次に訪れる病室へと向かう私の足取りは、昨日までとは見違えるほど軽く、前を向いて歩き出せていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
登場人物から探す
テーマ・シチュエーションから探す
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >
恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

