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「ちょっと、今どこほっつき歩いてたわけ?」息苦しい職場を変えたのは一本のデータ。私を監視するばかりのお局が新任部長に一蹴された話

息が詰まるほどの監視と、矛盾だらけの態度
「ちょっと、今どこほっつき歩いてたわけ?」
自席に戻るやいなや、背後から飛んでくる取り調べのような声に、私は毎日うんざりしていました。
職場の先輩、いわゆる「お局様」によるこの追及は、もはやお決まりのルーティンです。
彼女の目は、フロアにいる私たちの動きを一挙一動逃さないレーダーのようでした。
仕事中であれば、資料のコピーやお手洗い、ほんの少しの息抜きで席を立つことは誰にでもあります。しかし彼女は、私が椅子から立ち上がった瞬間にそれを察知し、戻ってきたところを狙いすましたように捕まえるのです。
「お手洗いに行っていたのですが……」
「へえ。それにしても随分と長いお花摘みだったわね」
こんな皮肉を言われると、何も悪いことをしていないのに罪悪感すら覚えてしまいます。自分の行動を分刻みで報告する筋合いはないはずなのに、このねちっこい視線には精神をすり減らすばかりでした。
さらに私のストレスを倍増させていたのは、お局様自身の勤務態度です。彼女自身はずっと仕事に集中しているのかと思いきや、実態は全くの逆。むしろ、誰かとのおしゃべりに花を咲かせている時間の方が長いくらいなのです。
「ねえ聞いてよ、この件どう思う?」
「あり得ないわよねー、絶対に間違ってるって!」
彼女のデスク周辺からは、常にこんな声が聞こえてきます。他部署の人間を捕まえては談笑し、プライベートな話題で大盛り上がり。その間、彼女が担当している業務は一向に進んでいる気配がなく、どうなっているのかと不思議でたまりませんでした。
自分の仕事は棚に上げておきながら、他人には目を光らせる。そのあまりにも理不尽な振る舞いに、私の不満は限界まで膨れ上がっていました。自分だけは特別扱いで何をしても許されると思い込んでいるような態度が、どうしても許せなかったのです。
「(またあの調子だわ……)」
心の中で毒づきながらも、波風を立てる勇気が出ない私。今日もまた、彼女の理不尽な監視と自分勝手な行動を前に、ただ黙って耐えることしかできないのでした。
緻密な記録と新任部長の一撃
どんよりとした空気が漂う部署に変化が訪れたのは、新しい部長が着任した日のことでした。一見すると穏やかな人物ですが、実は完全な実力主義者で、業務の無駄を徹底的に排除するという評判の持ち主です。
それでもお局様は相変わらずで、部長の視線など意に介さずおしゃべりを続け、私が少しでも離席すれば「またサボってるの?」と絡んできました。しかし、私はただ耐えていたわけではありません。この数週間、彼女が席を外して無駄話をしている時間を、こっそりとエクセルに記録し続けていたのです。
「ちょっと、またどこでサボってたの? いくらなんでも遅すぎるんじゃない?」
ある日、資料室から帰ってきた私にお局様の甲高い声が飛んできました。いつもなら愛想笑いでやり過ごす場面ですが、この日の私は違いました。彼女の目を真っ直ぐに見据え、冷静に口を開いたのです。
「すみません。ただ、本日の私の離席時間はトータルで15分です。それに対して先輩は、午前中の〇〇課長との世間話に45分、さきほどの給湯室での立ち話に30分と、すでに1時間15分も席を空けておられますが、ご自身の仕事は順調に進んでいらっしゃいますか?」
「なっ……! なによそれ……! 随分と口答えするようになったじゃない!」
予想外の反撃に顔を真っ赤にし、怒鳴り散らそうとするお局様。その瞬間でした。
「彼女の指摘通りですね」
振り向くと、そこには新しい部長が立っていました。その手には、部員全員の今月の業務達成率がまとめられた資料が握られています。
「着任早々、私も目についていたんですよ。あなたの度を越したおしゃべりと、部下への執拗な干渉が。ちなみに言っておきますが、あなたがいつも咎めている彼女の仕事の早さは、この部署でも群を抜いています。他人のあら探しに時間を使うくらいなら、ご自身が抱えている遅れ気味の業務に集中されてはいかがですか?」
フロアは水を打ったように静まり返り、完全に論破されたお局様は顔を伏せ、逃げ帰るように自分の席へと戻っていきました。その様子を見ていた周囲の同僚たちが、こっそりと小さなガッツポーズをして喜んでいる姿が目に入りました。
その日を境に、彼女の異常な監視も、度を越した私語も嘘のように消え去りました。今ではすっかり影を潜め、ただひたすらに自分のパソコンと向き合う日々を送っています。
ようやく手に入れた、自分の仕事に没頭できる快適な環境。あの時、勇気を振り絞って事実を突きつけて本当に良かったと、今でも思い返すたびに心が晴れやかになるのでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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