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「葬儀で、ピンクの髪…?」祖母の葬式に派手な髪色で現れた義妹。TPOを弁えない姿に凍りついた瞬間

数年ぶりの義妹一家との再会
祖母の訃報が届いたのは、肌寒さの残る午後だった。
喪服に袖を通しながら、私はぼんやりと数年ぶりに会う義妹一家のことを思い浮かべていた。
年に一度顔を合わせるかどうかの間柄。最後に会ったのは、たしか姪がまだ小学生の頃だったはずだ。
会場に到着すると、受付近くに義妹一家の姿があった。
先に視界に入ったのは姪の方だった。
鮮やかな金髪で、肩にかかる髪が会場の照明を反射している。
高校生になったと聞いてはいたが、ずいぶん大人びたなと驚いた。けれど、本当の衝撃はその隣にあった。
厳かな会場で凍りついた瞬間
姪の隣に立っていた義妹の頭が、目に飛び込んできた瞬間、私は思わず足を止めた。
「葬儀で、ピンクの髪…?」
声に出すことすらできず、口の中で言葉だけが転がった。
淡い色味ではない。原色に近い、鮮やかなピンクだった。
喪服の黒との対比で、その色だけが浮き上がって見える。
義妹は私に気づくと、何事もなかったように軽く片手を上げた。
「久しぶり〜」
場違いなほど明るい声だった。読経が始まる直前の静まり返った待合室に、その声がやけに響いた。
私の口は固まったまま、上手く音にならなかった。
普段の彼女は、自分の子どもには厳しいマナーを強いる人だと聞いている。
食事の所作、目上の人への挨拶、その手のしつけには口うるさいという話だった。
それなのに、四十を過ぎた自分自身が、こんな形で祖母の葬儀に立っている。
姑たちも黙ったままの違和感
会場には夫の両親、つまり義父母もいた。
普段なら身内のことに口を出す姑が、義妹のピンクの髪には何ひとつ触れない。
視線も合わせない。見えていないかのように振る舞っていた。
注意もできない。しないのか、できないのか、その境目すら分からなかった。
家族として何十年も過ごしてきた人たちの間に流れている、私には踏み込めない不文律のようなものを感じた。
焼香の列に並びながら、義妹の後ろ姿を見つめた。鮮やかなピンクが、線香の煙の向こうにぼんやりと滲む。
悲しみに集中しようとしても、視界の端でその色がちらつく。
(この人とは、価値観が違いすぎる)
怒りでも軽蔑でもない、もっと冷たい何かが胸に降りてきた。
これから先、法事のたびにこの一家と顔を合わせるのかと思うと、背筋に冷えたものが走る。
子どもには厳しく、自分には甘い。その線引きを当然のように引ける人と、これから何十年も親戚として向き合っていく。
それを思うだけで、喪服の襟元がきゅっと締まるような感覚があった。葬儀のあいだ中、私は祖母に手を合わせながら、嫁としての距離の取り方を静かに考え直していた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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