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「いつでも入っていいって言ってたから」留守中に合鍵で家に入っていた義母。帰宅後に私が見た最悪の光景とは

義実家から戻った夜、リビングの何かがずれていた
結婚して一年目の春、外出から帰ってきた時のことでした。
新居から車で一時間ほどの距離にあったので、合鍵は緊急時のためにと一本だけ義母に預けてありました。
夕方、家に戻って玄関の鍵を回した瞬間、なんとなく違和感がありました。
靴を脱いで廊下を進むと、リビングのソファに置いておいたクッションの並び順が、出かける前と微妙に違うのです。
テーブルの上のリモコンも、私が置いた位置から数センチずれている。気のせいかもしれない。
そう自分に言い聞かせながらキッチンに入った瞬間、シンクに置いておいた湯飲みが伏せて並べ直されているのに気づいて、思わずその場で立ち止まりました。
冷蔵庫のマグネットの位置も微妙に違っている。一つひとつは小さなずれです。それでも、家じゅうがそっと撫でられたあとのような、知らない指の気配がしっかり残っていたのです。
夫を呼んで小声で確かめます。
「ねえ、今日、誰か家に入った?」
夫は首をかしげながら義母にメッセージで尋ね、しばらくして電話がかかってきました。
受話器の向こうから聞こえてきたのは、思いがけずあっけらかんとした声でした。
悪気のないトーンで告げられた一言に走った冷気
義母は弾んだ声でこう続けたのです。
「いつでも入っていいって言ってたから」
合鍵を渡したとき、私たちはたしかに「何かあったときはお願いします」と伝えました。
けれど、私たちが留守の昼下がりに、連絡もなく部屋に入って、リビングを歩き、キッチンの食器に触れていい、という意味のつもりは一度もありません。
義母は悪びれた様子もなく、洗濯物を畳んでおいたこと、冷蔵庫を開けて中身を確認したこと、寝室の窓を開けて空気を入れ替えたことを、笑い声まじりで報告し続けました。
よかれと思ってやってくれたのは伝わってきます。それでも、私のいない家を、当たり前のように見られていたという事実だけが、背筋にじわっと冷たいものを残していくのでした。
寝室のクローゼットは閉まっていただろうか。下着を干しっぱなしにしていなかっただろうか。受話器越しの明るい声を聞きながら、自分の生活のあちこちが、誰かに静かに点検されていたような気分になっていきました。
その夜、夫と二人でテーブルに向かい合いました。
「合鍵、返してもらおう」
夫の方から切り出してくれた一言で、ようやく胸の重さが少しほぐれました。翌週、義実家を訪れて合鍵を返してもらい、緊急連絡先の取り決めをきちんと話し合った日、私はやっと安心して玄関の鍵を回せたのです。
あの日のリビングのずれを、今でも鮮明に覚えています。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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