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「お前じゃ話にならん」バイトに叫ぶ客が、奥から出てきた店長を見た瞬間、顔色が変わったワケ【短編小説】

お前じゃ話にならんバイトに叫ぶ客が奥から出てきた店長を見た瞬間顔色が変わったワケ短編小説

理不尽なクレーム

私がアルバイトをしているのは、駅前の小さなコンビニです。お客様の出入りが激しい時間帯は、レジが戦場のように忙しくなります。

その日も、夕方のピークタイムでした。私は必死にレジを打ち、商品を袋に詰めていました。そんな時、レジ待ちの列から一人の男性客が、いら立った様子で私の前に進み出ました。

「おい、これ、昨日買ったんだけどよ」

彼はそう言って、くしゃくしゃになったレシートと、中身が半分ほど入ったお弁当の容器をカウンターに叩きつけました。

「味が変だったんだよ。どうなってんだ!」

私はびっくりして、すぐに謝罪しました。

「申し訳ございません。よろしければ、すぐに返金させていただきます」

そう言ってマニュアル通りに対応しようとした瞬間、男性の怒りが爆発しました。

「金返せばいいってもんじゃねえだろ! 俺は気分が悪くなったんだ! お前のその態度が気に入らねえんだよ!」

身に覚えのないことで怒鳴られ、私は完全に萎縮してしまいました。ただ「申し訳ありません」と繰り返す私に、男性はさらにヒートアップします。

「だーから! お前じゃ話にならんって言ってんだよ! 店長出せ! 店長!」

私が「は、はい! すぐにお呼びします!」と奥へ向かおうとした、その時でした。

凍りついたお客様

「お待たせいたしました。どうされましたか?」

物音を聞きつけたのか、ちょうど休憩を終えた店長が、バックヤードから柔和な笑顔で出てきました。うちの店長は、いつも穏やかですが、柔道か何かをやっていたとかで、がっしりとした体格をしています。

さっきまで鬼のような形相で私を怒鳴りつけていた男性客が、店長の方を向いた、その瞬間。

男性の顔から、サッと血の気が引いていくのが分かりました。

「あ…。せ、先生…」

え? 先生?

男性は、さっきまでの威勢はどこへやら、まるで蛇に睨まれた蛙のように直立不動になっています。

店長は、カウンターに置かれたお弁当と男性の顔を交互に見て、にっこりと笑いました。

「おや、〇〇さん。いつもお世話になっております。今日はどうされました? もしかして、また奥様に内緒で夜食を?」

「い、いえ! ち、違います! あの、この店員さんが、すごく丁寧に対応してくださって! いつもありがとうございます! 勉強になります! 押忍!」

男性は、なぜか体育会系のように大きな声でそう言うと、慌ててお弁当を掴み、そのまま何も買わずに店から逃げるように出て行ってしまいました。

ぽかんとする私に、店長が苦笑しながら言いました。

「ごめんね、怖かったでしょ。彼、僕が教えてる近所の空手道場の生徒さんなんだ」

……どうやら、店長は「師範代」と呼ばれるすごい人らしく、あのお客様は日頃、店長にしごかれまくっている一人だったようです。

「お店も道場も、基本は同じ。誠意をもって相手に接すること」

いつも店長が言っている言葉の意味が、少しだけ深く分かった気がしました。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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