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恋に臆病な私を救ったのは、年収1000万のエリートではなく、“普通”の司書さんだった【短編小説】

「もう、恋愛で傷つくのはこりごりだ」
大学時代、4年間の片想いが無惨に砕け散って以来、私は「好き」という感情に蓋をして生きてきました。感情は非効率で、心をすり減らすだけ。結婚に必要なのは、年収や職業といった揺るぎない「条件」と「安定」のはず。
そう信じて、29歳の冬、私は結婚相談所の門を叩きました。
年収1000万、エリート…でも心が全く動かない日々
カウンセラーさんに「恋愛感情は不要です。条件だけで探してください」と宣言した私。紹介されるのは、誰もが羨むようなエリートばかりでした。
お会いした弁護士の方は、確かに知的で会話もスマート。でも、その会話はまるでビジネスの面接のよう。彼の話す将来設計に、私の姿は「妻」という名のパーツとして存在しているだけ。
「悪くない、むしろ合理的だ」と自分に言い聞かせても、デートの帰りに感じるのは、心が空っぽになっていくような虚無感だけでした。計画通りのはずなのに、何かが根本的に間違っている。そんな焦りだけが募っていきました。
データ度外視で会った“普通”の人。忘れていた感情が溢れ出した
そんな時、カウンセラーさんが「気分転換に」と紹介してくれたのは、私の条件とは全く違う、図書館司書の男性でした。ただ、備考欄にあった「古い映画が好き」という一言が、ずっと心の隅に引っかかっていました。
会ってみると、私たちは驚くほど夢中で語り合っていました。好きな監督、忘れられない台詞。彼の笑顔を見るたび、私の心はどんどん軽くなっていく。
そして、気づいてしまったのです。 「あ、私、この人のこと、好きになっちゃう」
その予感は、恐怖そのものでした。またあの苦しみを味わうの?傷つくだけの関係なら、始まる前に終わらせなくちゃ。私は、彼との次の約束を断ろうと決心しました。
私が本当に逃げていたもの。30日間の婚活で見つけた“答え”
婚活最終日。私は結局、彼に連絡できずにいました。頭に浮かぶのは、過去の失恋の痛みではなく、条件だけの男性と過ごした、あの息が詰まるような時間。
私が逃げていたのは、「好き」という感情そのものではなかったのかもしれない。傷つくことを恐れるあまり、自分の心にまで嘘をつき、感情のない「安全な人生」という檻に閉じこもろうとしていただけなんだ。
私は、震える指でスマホを操作し、彼にメッセージを送りました。『もう一度、会えませんか』と。
この恋がどうなるかは、まだ分かりません。でも、もう逃げるのはやめようと決めました。「好き」という感情の先に、本当の幸せがあると信じて。三十日間の婚活は、私にその勇気を教えてくれたのです。
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