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「なにこれ!?掃除してるの!?」流し場のカビで怒鳴る教育係の女性上司→我慢できずに異動願いを出した

機嫌で空気が決まる店舗
新卒で入った職場は、女性が中心の小さな店舗でした。教育係を兼ねていたのは30代後半の女性上司です。仕事はできる人で、最初の数日は丁寧に手順を見せてくれました。
けれど数週間も経つと、空気の読み方が違うことに気づきます。朝、上司の挨拶の声色が低い日。視線がこちらに向いたまま動かない日。そういう日は、店の隅々まで張りつめて、誰も呼吸の音すら立てなくなりました。
同期に「今日、機嫌悪そうだから気をつけて」と耳打ちされる朝もあって、出勤前の駅のホームから胃が固くなっていく感覚を覚えるようになりました。何時に着けば話しかけられずに済むか、ロッカーで何分粘ればいいかまで計算するようになっていました。
ある朝、休憩室の流し場にうっすらカビが浮いているのを見つけられて、私は呼びつけられました。
「なにこれ!?掃除してるの!?」
声は店内のフロアまで響いていたと思います。前日まで同じ場所を見ても何も言わなかった人が、その日に限って眉を寄せて詰めてくる。指摘の中身よりも、機嫌で温度がここまで変わることのほうが、ずっとこたえました。
無言で叩きつけられる物
嫌な合図はそれだけではありません。私のプライベートの話題が出た日や、休日の予定を同僚と笑って話したのが耳に入った日。そういう日は、引き継ぎの紙やボールペンが、無言でカウンターに叩きつけられて差し出されます。
「はい」も「これ」もなく、ただ音だけが置かれる。
謝るタイミングも分かりません。何に怒っているか言葉にされない以上、こちらは推測で頭を下げるしかない。下げ方を間違えるとさらに空気が冷えるので、息を浅くして次の指示を待つだけになりました。
家に帰るとお風呂で涙が出る日が続き、朝、店の前まで来ると足が止まるようになって、ようやく自分の状態を認めました。眠れない日が続いて、休日も部屋から出る気力が出ない。鏡の前で笑顔を作る練習をしてから出勤するようになっていて、それを情けないと思う余裕もなくしていました。
これ以上は無理だと感じて、本部に異動願を出しました。理由をすべて書く勇気はなく、「店舗を変わりたい」とだけ。別店舗への異動は通りましたが、上司への注意や処分はなかったと聞いています。同じ場所に同じ空気が残ったまま、私だけが移動した形でした。
新しい店舗で深呼吸できるようになった今も、あの流し場の音と、書類が叩きつけられる音だけは、耳に残ったままです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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