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「トロすぎんだろ!」コンビニのレジでクレームを受けている新人店員。そんな店員を救った女性の正体とは

「トロすぎんだろ!」コンビニのレジでクレームを受けている新人店員。そんな店員を救った女性の正体とは
コンビニでの喧騒
仕事終わりの疲労を引きずりながら、私はいつものコンビニへと足を踏み入れた。
しかし、自動ドアが開いた瞬間に肌を刺したのは、冷房の涼しさではなく、逃げ出したくなるような刺々しい空気だった。
レジに立っていたのは、一人の新人店員。
その手元は痛々しいほどに震えている。
商品のビニール袋がわずかに弛んでいるせいか、何度スキャナーをかざしても、「ピッ」という電子音は響かない。
「おい、いつまで待たせるんだよ!」
沈黙を切り裂いたのは、会計を待つ男性客の怒声だった。
苛立ちを隠そうともせず、カウンターを指先で激しく叩く。その威圧的な態度に、店員さんの顔からは一気に血の気が引いていった。
「す、すみません!すぐに別の人を呼んできますので……!」
「呼ぶ前に手を動かせってんだよ。トロすぎんだろ!」
浴びせられる罵倒。
パニックに陥った店員さんは、今にも泣き出しそうな表情で固まってしまった。
後ろに並んでいた私は、胸が締め付けられる思いで(誰か、助けてあげて……)と祈ることしかできなかった。
鮮やかに介入した「救世主」
その時だった。
私のすぐ前、列の二番目に並んでいた女性が、吸い寄せられるようにレジの横へと歩み出た。
「実は私、同じ系列の店舗で働いているんです」
彼女の声は、驚くほど穏やかで温かかった。怯える店員さんの瞳を真っ直ぐに見つめ、彼女は優しく微笑みかける。
「大丈夫ですよ。その袋、端を少し引っ張ってシワを伸ばしてみて? それから、スキャナーをほんの少し斜めに当てると、魔法みたいに読みやすくなるから」
その迷いのない、落ち着き払ったトーン。
驚きで目を見開く店員さんと、予期せぬ「プロ」の登場に毒気を抜かれた表情の男性客。
店員さんが言われた通り、震える手で袋をピンと張り、スキャナーを傾けてかざした。
直後、店内に「ピッ!」と軽快な音が響き渡った。
「……あ、通った」
「よかった。次は画面のこのボタンを押せば大丈夫。焦らなくていいからね」
的確なアドバイスが、凍り付いていた店員さんの心に光を灯していく。
一方で、先ほどまで怒鳴り散らしていた男性客は、本物の「店員」を前にして急にバツが悪くなったのか、忌々しそうにそっぽを向いて押し黙ってしまった。
「……ありがとうございました」
男性客は逃げるように店を去り、店員さんは深々と、腰が折れんばかりに頭を下げた。
「本当に、助かりました……!怖くて、頭が真っ白になってしまって……」
「いいのよ。誰だって最初は初めてなんだから。気にせず、頑張ってね」
助け舟を出した彼女は、自分の会計をスマートに済ませると、風のように軽やかな足取りで店を後にした。
ふとレジを振り返ると、そこには自信を取り戻した店員さんの、一点の曇りもない笑顔があった。
理不尽な怒号を、確かな知識と包み込むような優しさで鮮やかにかわす。
「誰かの積み重ねてきた経験」が、巡り巡って見知らぬ誰かのピンチを救う武器になる。
その光景を目撃した私まで、心に溜まっていた仕事の疲れが消え去り、最高の気分で帰路につくことができた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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