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そういうことだったのか…「本音で話せる仲じゃん」と言ってた友人が、会話を録音していた理由【短編小説】

「本音で話せる仲」と信じていた友人
「私たちって、本当に本音で話せる仲じゃん?」
カフェの向かいの席で、彼女はいつもそう言って笑っていました。私と彼女は週に一度はこうして会い、仕事の愚痴から将来の夢まで、包み隠さず話し合うのが習慣でした。私も彼女のことを、何でも話せる唯一無二の親友だと信じて疑いませんでした。
あの日も、いつものカフェで、私が最近職場で悩んでいることを打ち明けていました。彼女は真剣な顔で「うん、うん」と相槌を打ってくれています。
その優しさが嬉しくて、私はつい調子に乗って、かなりきわどい上司の悪口まで言ってしまいました。
その時です。ふと、テーブルに置かれた彼女のスマホが目に入りました。画面がうっすらと光り、見慣れないアイコンが点滅しています。
…録音マーク?
一瞬、思考が停止しました。全身の血の気が引いていくのが分かりました。
「ねえ…それ、もしかして…」
私が声を震わせながら指さすと、彼女はビクッと肩を揺らし、慌ててスマホを手に取りました。
「ご、ごめん…!」
彼女は真っ青な顔で謝りました。
裏切られた。その言葉が頭をぐるぐる回ります。「本音で話せる仲じゃん」と言っていたのは、すべて嘘だったの? 私の愚痴を録音して、一体どうするつもりだったの?
彼女が明かした、意外すぎる録音の理由
怒りと悲しみで言葉が出ない私に、彼女は泣きそうな声で話し始めました。
「違うの、本当に悪気はなくて…」
彼女が言うには、最近、仕事のプレッシャーでひどく物忘れが激しくなったそうです。
「あなたの話って、いつもすごく面白くて、的確で…。私、すごく励まされてるの。でも、後で思い出そうとしても、大事なところを忘れちゃうのがすごく嫌で…」
だから、こっそり録音して、家に帰ってから一人で聞き返していた、と。
「あなたの言葉を、忘れたくなかったの。でも、録音してるなんて言ったら、嫌われると思って…本当にごめん」
そういうことだったのか…。
呆気にとられて、私は彼女の顔をまじまじと見てしまいました。確かに、彼女は私の言葉をよく覚えていてくれて、前に私がポロッと漏らした悩みについても、後日「あれ、どうなった?」と気にかけてくれていました。
録音されていたことへのショックが消えたわけではありません。でも、彼女の切実な表情を見ていると、怒りよりも先に、戸惑いと、ほんの少しの安堵が込み上げてきました。
本音で話せる仲だからこそ、先に言ってほしかった。そう思いながらも、強く彼女を責めることはできませんでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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