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家事マウント彼氏に”義母協力型の逆襲”を計画「母さんには勝てない」って言うから、母さんに聞いてきたんだけど?【短編小説】

家事マウント彼氏に義母協力型の逆襲を計画母さんには勝てないって言うから母さんに聞いてきたんだけど短編小説

 

義母の料理と比べる旦那…

「うーん……やっぱ味噌汁、実家の方が美味かったな」

味見もせずにそう言って、翔太はスマホをいじり始めた。
湯気の立つ食卓には、私が朝から買い物して作った5品。
でも彼の目には、スマホの通知の方が魅力的らしい。

「母さんの料理って、薄味だけどコクがあったんだよなあ」
「お前のは……なんか、“普通”? って感じ」

この1ヶ月、毎日こんな調子だ。
仕事終わりでヘトヘトでも、ちゃんと自炊してるのに。

「そうなんだ〜」
私はそう答えるだけにして、彼の味覚ごと放っておいた。

けれど、その夜。
私は静かにスマホを開いた。

義母への接触

彼の母――つまり“お義母さん”のフルネーム。
以前、親族の結婚式で見かけた席次表を、私はふと思い出した。

Facebookで検索すると、すぐに出てきた。
料理教室の講師をしているらしく、アイコンはエプロン姿の女性。
プロフィールには「息子は一人暮らし、最近同棲を始めたらしい」とまで書かれていた。

私は震える指で、メッセージを送った。

突然のご連絡失礼いたします。
私は翔太さんと同棲している者です。
最近、翔太さんが「お母様の味噌汁の方が美味しい」とよく言っており、
ぜひレシピを教えていただけたらと思いご連絡いたしました。

返事は、翌朝届いた。

義母との協力関係

まあ!そんなこと言ってるの?
昔は何でもケチャップかけてたのに(笑)
レシピ、喜んでお伝えします。あと、もしよかったら私の料理教室にも遊びに来ませんか?

――予想以上の“ノリノリ”だった。

その週末、私は義母の料理教室に参加した。
教室のテーマは「家庭の味」。
メニューは、味噌汁・肉じゃが・卵焼きという、まさに“実家”セット。

「翔太、最近どう?迷惑かけてない?」

義母は気さくな人で、レシピも丁寧に教えてくれた。
翔太が「味噌汁の方が〜」と毎日言ってくると話すと、

「……え?あの子、私の料理、ほとんど食べてないのに?」

と目を丸くした。

そして、運命の夜がやってきた。

私は、教わった通りの“お義母さん風味噌汁”を作った。
ダシも具材も完璧。
食卓に並べると、翔太は一口すすってこう言った。

「おっ、今日のうまいな。
 ほらな?やっぱ母さんの味に近づいた方がいいってことだよ〜」

私はニッコリ笑って言った。

「うん、それ、あなたのお母さんが作ってくれたレシピなんだよ」

翔太の箸が止まる。

「え?」

「ていうか今日、料理教室行ってきたの。お母さんと一緒にね」

一瞬、彼の顔が真っ青になる。

「……え、それ、言ったの?」

「もちろん。“お義母さんの味には敵わないみたいで”って、伝えといたよ」

そして私はスマホを取り出し、義母からのLINEを見せた。

翔太ったら……あんなこと言ってるのね(笑)
今度ビシッと言っておくわ!

彼は黙り込んだ。

翌週、義母から野菜がたっぷり届いた。
段ボールには、手書きでこう書かれていた。

「翔太が何か言ったら、いつでも私に言ってね」

私はその文字を見て、久々に“食卓に座る楽しさ”を思い出した。

 

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