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【クレームの王様・後編】「教育どうなってるんだよ!」と詰め寄る常連クレーマーの正体とは【長編小説】

クレームの王様後編教育どうなってるんだよと詰め寄る常連クレーマーの正体とは長編小説

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「本部の人間が来る」
その一報で、店内の空気は一変した。

私はいつも通りエプロンを結び、レジに立った。
昼下がりの時間帯、扉のベルが鳴る。
現れたのは――やはり、加藤だった。

スーツの胸元に「本社 クレーム対応部」と書かれた名札。
信じられない光景に、背筋が凍る。
私たちが苦しめられていた相手は、まさか会社の内部の人間だったのだ。

「どうも。視察に来ましたよ、宮本さん」

 視察に来たのはクレームの王様

口元には、あの薄笑い。
その瞬間、彼の“趣味”が理解できた。
現場を巡っては従業員の態度を試し、文句を言い、
“お客様の声”として報告書に書くことで、
自分の存在を誇示していたのだ。

会議室でのヒアリング。
店長やエリアマネージャーが並ぶ前で、加藤は堂々と語った。

「現場の意識が低い。特に宮本さん、あなたの接客は機械的すぎる」

私は静かに聞いていた。
けれど、そのとき店のドアが開き、意外な人物が入ってきた。

クレームの王様の末路

新人の理央だ。
震える声で言った。

「加藤さん、あなたの発言、私、録音してます」

会議室に緊張が走る。
理央がスマホを再生すると、
そこには加藤が紗季に浴びせた暴言の数々が記録されていた。

『教育どうなってるんだ!』『SNSに上げるぞ』

一瞬で空気が変わる。
エリアマネージャーの顔色が固まり、加藤の口が引きつる。

「これは……誤解だ」

「誤解?お客様じゃなくて社員ですよね」
店長の声が、静かに刺さる。

後日、本社から正式な通知が届いた。
加藤は社内調査の結果、懲戒処分。

彼の“クレーム王”としての権威は、音を立てて崩れ落ちた。

理央は泣きながら私に言った。

「勇気出してよかった。紗季さんが守ってくれたから、今度は私が守りたかったんです」

私は笑って首を振った。

「ありがとう。でもね、誰かを守るために頭を下げるのも、戦うのも、どっちも間違いじゃないよ」

あの日から、クレーム対応という言葉の意味が少し変わった気がする。
「耐えること」だけが誠意じゃない。
「正しく立ち上がること」も、同じくらいの勇気だ。

――“クレームの王様”が去った店で、今日もコーヒーを淹れる音が響く。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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