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朝の通勤ラッシュ。「偶然じゃない」逃げても執拗に追ってくる気味の悪い手。声を出せない私を救ってくれたのは
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朝の通勤ラッシュ。「偶然じゃない」逃げても執拗に追ってくる気味の悪い手。声を出せない私を救ってくれたのは
息苦しい朝の車内
憂鬱な朝の通勤ラッシュ。
私にとって、一日のうちで一番体力をすり減らす過酷な時間です。
人で溢れ返るホームと、むっとするような車内の熱気。
「よし、なんとか乗り切ろう……」
覚悟を決め、すし詰め状態の車両へと無理やり体を押し込みました。
人の波に揉まれながらつり革にしがみついていると、ふいに腰のあたりへ他人の手が当たるのを感じました。
「……ん?」
最初は偶然だろうと思いました。
これだけの満員電車なのだから、多少体が触れ合ってしまうのは避けられません。
そう自分を納得させ、わずかに身をよじって距離を置きました。
しかし、私が動いた分だけ、その手もピタリと這うように追随してきたのです。
「まさか、そんな……」
自分の勘違いであってほしいと願いながら、今度は周りの人に迷惑がかかるのを承知で、思い切って横へ大きくずれ込みました。
これで物理的に手が届かないはず。
だが、次の瞬間。
再び、腰に先ほどの気味の悪い感触が戻ってきたのです。
「偶然じゃない、狙ってるんだ」
背筋が凍りました。
少し隙間があるにもかかわらず、わざわざ私を標的にしてしつこく触れてきている。
その粘着質な悪意に、心底ゾッとしました。
心臓がバクバクと鳴り、喉が干からびます。助けを呼びたいのに、恐怖で声が絞り出せません。
私はただ、手にした鞄を強く握りしめて耐え忍ぶことしかできませんでした。
恐怖に縛られ、身動き一つとれなくなっていた、その時です。
思いがけない救いの声
「…ちょっとあなた、いい加減になさいよ!」
突然、すぐ隣にいた女性の鋭い声が車内に響き渡りました。
ハッとして顔を向けると、彼女は私の後ろに立つ男性をきつく睨みつけ、私を背に庇うようにして立ち塞がっていました。
「さっきから見てましたけど、この人の腰をずっと触ってましたよね?次の駅で駅員呼びますからね」
彼女の凛とした声に反応し、周りの乗客たちの冷ややかな視線が一斉に男性へと向けられました。
「あ、いや、違うんです……」
男性は顔を真っ赤にしてしどろもどろになり、握っているスマホを小刻みに震わせています。
「言い訳はいいです。一緒に降りてもらいますから」
女性がさらに強く出ると、周囲からも「うわ、最低」「あんなことする人がいるんだ…」と非難の声が上がり始めました。
プシューッ。
駅に到着してドアが開いた途端、男性は弾き飛ばされたかのようにホームへと逃げ出していきました。
足早に去っていく後ろ姿を見つめながら、私は深い安堵の溜息をつきました。
「……ありがとうございます、本当に助かりました」
私は助けてくれた女性に何度も頭を下げました。
まだ震えの残る私に、彼女は穏やかなトーンで語りかけてくれました。
「お怪我はないですか?ああいう輩は逃げるに限りますね。次また同じ目に遭いそうになったら、遠慮せずに周りに助けを求めてくださいね」
私は感謝の気持ちでいっぱいになり、彼女の手を両手で包み込みました。
卑劣な悪意に対して、周囲の目と毅然とした態度がいかに有効かということを痛感した出来事でした。
彼女の勇敢な振る舞いのおかげで、私の心にまとわりついていた暗い恐怖はすっかり晴れていました。
明日からの通勤時間も、今日のように少し前を向いて歩けそうな気がします。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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