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「新人だからしょうがない」と嫌味を言う先輩。私の隠し持っていた資格で先輩が恥をかいた瞬間【短編小説】

「新人だから」繰り返される先輩の嫌味
私は社会人になったばかりの、いわゆる「新人」です。 期待と不安を胸に入社した私でしたが、教育係の五十嵐(いがらし)先輩の指導には、毎日気が滅入っていました。
「あ、白石さん。この資料、また数字間違ってるよ」
「申し訳ありません! すぐに直します!」
「まぁ、新人だからしょうがないか。次、気をつけてね」
先輩はいつも私のミスをわざと周りに聞こえるように指摘するのです。
他の先輩方は優しいのですが、五十嵐先輩だけが私を「できない新人」と決めつけているようでした。
悔しくて何度も資料を見直すのですが、緊張すると余計にミスが増えてしまう悪循環。私はただ「すみません」と縮こまる日々でした。
実は私、学生時代に必死で勉強して取得した「ある資格」を持っていました。でも、今の業務にすぐ必要というわけでもなく、自慢するみたいで嫌だったので、面接の時に伝えたきり、職場では黙っていたのです。
赤面する先輩。私の「本当の実力」
そんなある日の午後、事件は起きました。 オフィスに電話が鳴り響きました。
どうやら海外の重要な取引先からの緊急クレームのようでした。
タイミング悪く、英語対応ができる課長は外出中。
フロアはざわめき、五十嵐先輩が仕方なく電話に出ました。
「イエス? あー…ワット? そ、そーりー? プ、プリーズ・スピーク・スローリー…」
明らかに五十嵐先輩はパニックになっています。相手はかなり怒っているようで、早口の英語が受話器から漏れ聞こえてきます。
「だ、誰か…」と五十嵐先輩が青い顔で周りを見渡した、その時です。
「私が代わります」 私は静かに立ち上がり、先輩から受話器を受け取りました。
「は? 白石さんが? 無理に決まっ…」 先輩の言葉を遮り、私は深呼吸ひとつして英語で話し始めました。 私が隠していた資格、それは「ビジネス通訳検定1級」でした。
相手の怒りの原因を冷静に聞き出し、こちらの不手際を謝罪し、具体的な解決策を提示する…。 十分ほど話し、最後は和やかな雰囲気で電話を切ることができました。
オフィスは、シーンと静まり返っていました。 さっきまで私を馬鹿にしていた五十嵐先輩は、信じられないという顔で、口をパクパクさせたまま固まっています。
その顔は、みるみるうちに赤くなっていきました。 戻ってきた課長に事情が伝わると、私は「すごいじゃないか!」と皆の前で褒められました。
「新人だから」と私を見下していた五十嵐先輩は、それ以来、私を馬鹿にすることはなくなりました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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